第18話 問われなかった理由

ジャスパーは、マッケンジャー専用の運転手になっていた。


後部座席からハンドルを握るジャスパーを、見つめながら、

マッケンジャーは、あの夜の事を思い出す。


——三年前、ニックのペントハウス。


「お前、本当は何歳だ?」


「…16です。」


ニックは、ワインを一口飲み、フッと笑った。


「なんで、歳をサバ読んでまで、ここのドアマンに?」


検討はついていたが、ジャスパーに言わせたかった。


「あなたの元で、働かせてください。」


「ガキのお前が、俺の元で?

俺は、その辺のギャングじゃねえぞ?」


「はい、だからです。」


———


三年の間、傍に置き、ジャスパーが頭が切れ、そして…どんな仕事も必ずやり遂げる事を理解した。


「ジャスパー」


「はい、ボス。」


「うちのお抱えの会計士がな、

どうやらちょろっと横領してる節がある。

やれるか?」


「わかりました、ボス。」


「細かいことは、調べれば分かるだろう。」


「はい。」


マッケンジャーはそれ以上、何も言わなかった。


ジャスパーも、何も尋ねなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る