チョコより甘い恋を。

櫻葉きぃ

椎菜×麗眞

「これ、麗眞に。


 今年はガトーショコラにしたよ!


 後で食べてね」


 バレンタインデー当日。


 朝から麗眞の屋敷にお呼ばれしていた。


 麗眞の部屋のデスクには、無数の紙袋があった。


「殆どがメイドや執事から。


 姉さんからの義理チョコも1つだけあるけど。


 俺は、椎菜から貰えればそれで良かったのに」


 私の頭を何度も撫でながら、そう言ってくれる麗眞。


 嬉しいけど、何だか複雑。


 ぎゅっと麗眞に抱きつく。


「椎菜。


 朝から、俺をどうしたいわけ?


 責任取ってくれるの?」


 ズボンの上からでも主張する膨らみに、そっと触れる。


「しばらく顔見れなかったし、寂しかったもん」


 麗眞がカナダに経つ1週間前。


 その日から2泊3日で、2人で京都に旅行に行く。


 宿は確保した。


 旅行の観光地を話し合って決めようということで、こうして私はここにいる。


 分かってはいるが、久しぶりに会ったのにキスもないのは、正直寂しい。


「話し合い終わったら、可愛い椎菜の声を聞こうと思ってたんだけど。


 今からお望みなら、仕方ないな。


 1回終わったら少し寝ろ?


 目の下に薄いクマ出来てる。


 ずっと課題やってたのは、偉いし頑張ってるな、って思うけど。


 いつものメンツで卒業旅行もあるし、その前に身体壊したくないだろ?」


 そういえば、そうだった。


 卒業式の数日後には、皆で金沢旅行に行くのだ。


 今、体調を崩すわけにはいかない。


 優しいなぁ、麗眞。


 そんな麗眞と、しばらく離れなくてはならない。


 でも、慣れない大学生活に追われていたら、夏休みはきっとすぐに来るだろう。


 その時に会える。


「同性からも異性からも慕われる麗眞も好きよ?


 だけど、麗眞は私のだからね?」


 そう言って、麗眞の唇を塞いで、舌を絡める。


 麗眞の手は、私のそれなりに大きさはあるとし自負している膨らみに触らせた。


「ん?


 俺に妬いてくれてたんだ?


 いつになく積極的だから、何かあったのかと思ったけど。


 そういうことか。


 話し合い終わったら、今より可愛く鳴いてもらうからね、椎菜」


 ドアが軽くノックされた音で目が覚めた。


 もう、太陽はすっかり高く昇ってしまっている。


「良くお眠りになられていたようで。


 よほどお疲れだったのでしょう。


 昼食のご準備が整っております。


 椎菜さまさえ宜しければご一緒しませんか」


 この丁寧な口調は、麗眞の執事の相沢さんだ。


「今行きます。


 ごめんなさい、すっかり寝てしまっていて」


「そんなことを仰らずに。


 頑張ることは、素晴らしいことです。


 しかし、休息もそれ以上に大切です。


 麗眞坊ちゃまも、課題に缶詰になっていないか、心配されていらっしゃいましたよ」


「ありがとうございます。


 皆心配してくれてるから、私も気をつけなくちゃですね。


 麗眞が安心して旅立てなくなると困るもの」


 お昼ごはんのオムライスとサラダを胃に入れて、少し休憩した頃。


 麗眞の部屋にて、ガイドブックやたくさんの資料と向き合った。


 ガイドブック以外の資料は、相沢さんたちが用意してくれたようだ。


 桜が咲く時期の京都の魅力が、これでもかと詰め込まれている。



「椎菜は観光したいよな。


 ゆっくり温泉にも浸かりたいか?


 桜もタイミング合えば綺麗に咲くだろうし。


 俺も向こう行くと見れないから、桜くらいは見ておきたいな。


 混むだろうから、当日体調悪くなったら言ってな」


「ありがとう、麗眞。


 何だかんだ、2人で旅行なんて初めてだから嬉しい」


「そういえばそうだな。


 俺も今から楽しみ。


 金沢の卒業旅行より楽しみ度合いは上だわ。


 今回のバレンタインに、この間のクリスマス。


 椎菜からはいろいろプレゼントしてもらってるからな。


 その分のお返し、たっぷりその時にしようかな」


 旅行のプランはすっかり固まった頃。


 もう太陽は傾きつつあった。



 1日目と最終日に観光を詰め込み、2日目はホテルでゆっくり過ごすのだ。


 そのために、露天風呂付き客室にしてある。


 どちらからともなく、唇を重ねた。


「当日、寂しくなると思うから、たくさん甘えちゃうかも。


 いい?


 麗眞」


「それ言われて、断らない男いないよ?


 当日は、椎菜の身体の隅々まで堪能させてね?


 向こうでも椎菜のこと思い出せるくらい、椎菜の全てを記憶に刻んでおきたい」


「こんな感じ?」


 私は、麗眞の手を取ると、着ている白ニットの隙間から、膨らみに触れさせた。


「ったく、可愛すぎて困る。


 俺をどうしたいわけ?


 俺が満足するまで止めないからな。


 もう話し合いも終わったし、椎菜を好きなだけ味わう時間にしていいんだよね?」


 私を見下ろす彼の瞳は、すでに男の色気を帯びていた。



 チョコレートより甘くて濃厚な時間が、今始まる。


 いつも支えてくれる麗眞に、ハッピーバレンタイン。




















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