第7話

終焉の魔王を「掃除」し、世界の全権管理コードを手に入れたレン。しかし、彼が望んだのは玉座でも神の座でもなく、相変わらずの「平穏な掃除生活」だった。



だが、システムが再起動(リブート)したことで、思わぬ誤算が生じる。 「運営」が、レンの力を無視できなくなり、ついに「直接対話」のための窓口を送り込んできたのだ。



「……あの、すみません。あなたが今回のバグ、あ、いえ、特異点のレン様でしょうか?」



広場を掃くレンの前に現れたのは、フリル付きのドレスに身を包んだ、いかにも「新米」といった風情の女神・リリィだった。



「運営の使いか? 今日のログインボーナスならもうスタック済みだぞ」 「ち、違います! 私は再起動したシステムの整合性をとるために配属された、管理AIのインターフェースです! あなたのせいで、世界のパラメータが滅茶苦茶なんです!」



リリィが提示したホログラムには、グラフを突き抜けて天に届くレンのステータスが表示されていた。レンの存在そのものが、世界サーバーに過大な負荷(オーバーロード)を与え、周囲の時空を歪ませ始めているという。



「あなたが歩くだけで、周囲の空間が『削れて』消滅しかけてるんです! お願いですから、少しは力を抑えてください!」 「これでも封印は99層かけてるんだがな。……わかった、ログインボーナスの倍率を『重力制御』に変換して、存在密度を固定してみる」



レンがその場で設定を変更した瞬間、広場の地面が「ゴゴゴ……」と沈み込んだ。 「重すぎるんです! 加減を覚えてください!」 最強の掃除係と、彼に振り回される苦労人女神の奇妙な共同生活が始まった。

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