第10話

 限られた食事しかとれないあなたは痩せた。リハビリすら拒否したものだから筋力も衰え、もはや寝返りすらできなくなった。

 骨と皮になりつつあったあなたは背中に床ずれを作った。訪問診療のスタッフがあれこれ手を打ったが栄養状態が悪くなったあなたに傷を治す治癒力は残っていなかった。

 週に三回訪問看護師が処置に訪れる。しかしそれ以外は下の世話、食事の介助すべて嫁が手当てをするのだ。

 あなたは食事もとれなくなっていった。嫁が口もとに運んでも口を開かない。食べなくなっていたあなたは嚥下機能も低下し、よくむせるようになっていた。

 まだ八十前なのに九十の寝たきりみたいですよ――と発破をかける看護師もいた。

 長女と二男は寄りつかなくなった。まるで亡くなったら連絡をしてくれと言わんばかりの態度にあなたは憤ったはずだった。気力が落ちてもこどもに怒る性質は失っていなかった。だからこどもも来なくなった――とはあなたは考えない。

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