12話「闘技場•初戦」
闘技場に立った瞬間、空気が変わった。
歓声、罵声、期待、侮蔑。
全部がごちゃ混ぜになって、耳を殴ってくる。
ナ「さぁ始まりましたぁぁ!!
噂通りなのか?!悪逆非道と言われる謎の男 vs
この男、勝ち抜けば無罪!敗北すれば――」
墨「はいはい、うるせぇ」
正義派だかなんだか知らねぇが、
目の前の男は筋肉の塊だった。
ゴ「その腕……隠してた理由、分かるぜ。
だがな、ここじゃ“怪物”の方が歓迎される」
墨「そりゃどうも」
開始の合図が鳴る。
次の瞬間――
俺は一歩、踏み込んだ。
ゴ「な――」
遅い。
踏み込みと同時に、
左腕の可動域を最低限だけ解放。
技術も、派手な技もいらねぇ。
ただ、正確に当てる。
腹。
鳩尾。
呼吸が止まる角度。
ゴ「……ッ」
鈍い音が一つ。
巨体が前のめりに崩れ落ちた。
墨「……はい、終わり」
静寂。
次の瞬間、
闘技場が爆発した。
民衆「「「えぇぇぇ!?」」」
ナ「な、なにが起きたぁぁ!?
開始、わずか――三秒!!」
担架が運ばれ、
ゴルガはそのまま退場。
死んじゃいねぇ。
ちゃんと生かしてある。
墨(言っただろ。完封だ)
俺は観客席を一瞥する。
さっきまで嘲っていた連中が、
今は値踏みする目に変わっていた。
墨「……さて」
左腕を軽く振り、
指の感覚を確かめる。
墨「ここからが本番、か」
遠くの観客席で、
日丸と目が合った。
日「……」
言葉はないが、
あれは多分――
「やりすぎないでくださいよ」
って顔だ。
墨「無理言うな」
俺は笑って、
次の相手を待った。
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