第八話 晴れる視界

「だ、そうだな。


「え、は、はい」


「こっちもがあってな。天器深度てんきステ―ジは二で抑えて相手してやる。いくぞ」


 アスカの周りの空気が、断続的な発破音を、響かせ、アスカに迫る。


 コ―ガは右手の黒い手袋の、親指と人差し指の先をくっつける。


天器深度てんきステ―ジその一。空気中の電気を操作、密集」


 アスカは身動きが出来ない。


「動いてみろ。新人――」


 アスカの額から一粒の汗が、顔から離れ、地面に吸い込まれる。


 雷が跳ねる。


 汗は地面に衝く前に、蒸発してしまった。


「――だぞ」


 アスカは考える。なぜ自分は、先程攻撃を回避できたのか? 


 コ―ガは更に、人差し指も親指に付ける。


「そして、天器深度てんきステ―ジその二。雷に特性を付与、形成」


 コ―ガの前に、雷が白い槍となって現れる。


。新人」


 あの時は、無我夢中だった。アスカを襲う敵意に、身の危険を感じてだった。


「避けて黒こげか。槍で黒こげか」



 アスカに閃きが走る。


 


 そうだ。あの時、アスカが欲したのは!


「コ―ガさん」


「何だ? 命乞いか? 新人」


「私――」


 アスカは人差し指で、片眼鏡モノクルを支える。


 アスカは望む。


 を!

 

 生きるためのを!



 がアスカを進ませる。



「――


「そうか、じゃあ、逝けよ」


 コ―ガは親指から、二本の指を離す。


 轟音だ。


 アスカを囲む雷が、槍の通り道を、あける。 


 一筋の雷の槍が、アスカに向かう。


 アスカの視界には、黒塗りの片眼鏡モノクルが、景色を見せた。


 それはを指し示す。


 アスカは、雷が通る針の隙間の時間を、駆け抜ける!


 その景色の通りに、右足から踏み込み、身を屈め、左足で地面を蹴る!


 コウジは、アスカの姿を見て微笑む。


「出来たじゃねぇか。アスカ」


 アスカは、髪と、服を焦がしながらであるが、雷の包囲網を抜けたのだ。


 勢いそのまま、コ―ガに体当たりをして、右手の黒手袋の手を抑えつけた。

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