Side Reo


莉音はもう寝ているだろう。

日付はとっくに越えている。

莉音に手を出さないようにと、書斎のソファで眠る日が続いている。


莉音の部屋と伝えてある、本来の寝室へ向かうと莉音がうなされていた。

悪い夢でも見ているのだろうか、少し汗ばんだ莉音の頭を撫でた。


「莉音。」

「ウゥ、」

「大丈夫か?」


起きる気配はない。

しばらく頭を撫でていると、落ち着いたのかうなされることはなくなった。



数時間の睡眠後、久しぶりに出社すると笑顔の神谷が待ち構えていた。


「社長、おはようございます。」

「あぁ。」

「今日は3日分働いてくださいね。」

「チッ、」

「なんか眠そうですけど、」

「眠い。今日は早く帰る。」

「20時の役員会議は必ずお願いします。」

「ずらせ。」

「無理です。一旦帰るもなしです。

見てください、メール死ぬほど溜まってますから。

それより、そんなにあの子にゾッコンですか?」

「うるさい。」

「買うほどですもんね。

女を買うなんて、聞いたことありませんが。」

「黙れ。」

「まぁいいですけど。

あなたのわがままには慣れてますので。」

「今後、持ち帰れるものは家でやる。」

「わかりました。

ですが、今日は無理ですからね。」



それから莉音に遅くなるから、先に寝ているよう伝えた。


結局帰宅したのは、日付が変わる直前だった。


莉音の顔を見るため寝室へ行くと、莉音はスヤスヤと寝ていた。

今日はいい夢でも見ているのか、顔色がいい。


頭を撫でて、額にキスをした。

それから唇にも。

舌を入れたい衝動を抑え、莉音から離れた。


これ以上は我慢だと、自分に言い聞かせて寝室を出た。


本当だったら今すぐにでも莉音が欲しい。


莉音は俺のことどう思っているんだろうか。


莉音の過去の恋愛はよくわからないが、あまり自分の思ったことを口にするタイプではない。


今までの女たちは、口を開けば好きだの、愛してるだの言ってきたから、どうすれば莉音の口からそれが聞けるのかわからない。



「麗央?」

「起きたのか?」

「なんか喉乾いちゃって。

遅かったね、おかえり。」

「あぁ。」

「麗央は今から仕事するの?」

「今日はもうしない。」

「そっか。明日も仕事だよね?

ごめんね、邪魔しちゃった。」

「こっち来い。」

「ん?」


抱きしめた莉音からは、香水ではない甘い女の香りがした。


「甘い。」

「え?何が?」

「お前の匂い。」

「臭いってこと?」

「いや、」

「麗央はいい匂い。」


クンクンと俺の胸を嗅ぐ莉音が可愛すぎて、危うく手を出すところだった。


「もう寝るぞ。」

「うん。おやすみ。」

「あぁ。」



仕事で疲れているはずなのに、何故か眠れなかった。

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