第3話

 きっと春のせいだ。

 日差しが徐々に明るくなってきて気温が温かくなって、だから気持ちも浮ついてしまったんだ。うん、春が悪い。

 季節に八つ当たりしたところで、なにか変わるわけじゃないけど。


 こんな関係になってはもう友達ではいられない。恋人を失ったばかりではなく友達も失うことになるなんて。

 きっともうお別れだ。さよなら、私の友情。

 彼にも悪いことをした。こんなことになるなんて望んでなかっただろうに。


「ごめんね……」

 ぽつりとつぶやくと、彼がもぞもぞと動き、目を覚ました。

「……おはよ」

 寝ぼけまなこに色気があって、どきっとした。


「おはよ」

 そっけなく答えると、彼の腕が伸びて私を抱きしめる。

「昨日はすっげえ良かった」

 私は答えられず、目をそらした。そんな感想なんて聞きたくない。時間を巻き戻してあのときに帰れたら、絶対に断って帰るのに。そしたら友達を失わなくてすんだ。


「お前、もしかして後悔してる?」

 私はまた答えられない。

「昨日は勢いだったと思うだろうけど……俺はそれだけじゃないから」

 それだけじゃないって、どういうことだろう。

 思うけど、聞き返せない。

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