第2話 よう……2年ぶりだな。
通勤電車で昔の友人とはち合わせた。昔と言っても2年前に縁を切ったばかりだし、着込んでマスクもしていたので本人か定かではない。
ほんの一瞬目が合った時、私は無意識に車両を変えた。本人だとしたら、彼も私だと気づいたことだろう。なにせ我々は中学1年生から15年来の親友だったのだから。
彼がこの方向に、この時間くらいに出勤することは知っていた。その日だけは私が電車に一本乗り遅れたことで、この偶然が起きたのだろう。
仮に向こうから話しかけてきたとしたら、私は何と言うだろう。別れも告げず、一方的にブロックした私は気まずさを思い出した。自分の選択を悔いることはしないつもりだ。その時の私にとって、全ての人間関係を断つことは必要だったのだ。
今の私はどうだろう。ひとりの生き方に慣れ、進む方向も見つかりつつある。ここで縁を戻すきっかけがひらりと舞い込んできた場合、私はどうするのが「正解」だろうか。
私が思い描く私なら、ほぼ確実に、かつてと同じ親友として応対し、飲みに行こうなどと言われれば明るく承諾するだろう。
そして私は思うだろう――こんな自分も嫌いじゃない、と。
(追記:筆者は男です)
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