第6話
ファズはエルフ達を連れて歩く、そんな中セルビオはファズの姿を見て疑問を覚えてその疑問を口にする。
「…俺達を倒す際に弓のスキルを使っていた気がするのだが、見たところ弓を持っているようには見えない、どのように弓のスキルを使ったんだ?」
ファズはセルビオの言葉に振り替えると、その辺に落ちている枝を拾い、草を風魔法で加工し紐にすると、枝をしなられ弓っぽい何かを作る、その後一本追加で枝を拾うとその弓っぽいなにかにつがえてセルビオに見せる。
「簡単だろう?」
ファズがそう言ってこれは弓だと言い張るとセルビオは頭を抱えてそれは弓ではないと言いたくて仕方がなかったのだが、実際にそれで弓のスキルが発動している以上これは弓なのだ……
ちなみにこのやりとりを見ていたエルフ達もそれは弓ではないと言いたそうな顔をしていたが、セルビオも同じ意見を持っていることに気づいたのか、何も言わず人間と同じ意見を持ったなんてと悔しそうな顔をしている。
何とも言えない空気の中全員が歩いていると、ファズの前方から軍の人間が歩く際に発生する鎧がこすれる金属音が近づいてくる。
エルフ達はその場で止まり体を震わせている、セルビオは利き手ではない左手で剣を抜き、無理やり構えて万が一があれば戦うつもりであった。
そんな中ファズは拾った枝を作った弓につがえて空へと打ち上げる。
緊迫した空気の中、誰かが「あ、本当にそれで撃つんだ」と思わず呟き、緊張した空気は一気に弛緩するがそれもリーリアンの兵士が姿を現すまでだった。
「……久しいなセルビオ、ふむ、部下はいないのか?まぁいい、私とお前の仲だエルフ共を引き渡すというのならお前だけは見逃してやろう、私はお前をライバルだと思っているからな、軍の力で一方的にお前を嬲り殺すようなことはしたくはないのだ。さぁ、エルフ共を渡したまえ」
そう告げたのはリーリアンの第3軍団軍団長である、リンジュという男であった。
本人も言っていた通り、リンジュは隣国とはいえ自分と同じ第3軍団長という立場にあるセルビオをライバル視しており、いずれ彼を討ち取りその名を高めようと考えていた。
リーリアンでは第1軍団、第2軍団の長はリーリア教の大司教がついており、リンジュはこれ以上自分の地位を上げることは出来ない、その為に地位ではなく名を上げて英雄になることを望んでいるのだ。
「……リンジュ、悪いが俺はお前をライバル等とは思っていない、だが長く戦場で争ってきた仲だから警告してやる、逃げるかガードを固めろ」
セルビオがそう伝えると彼の言葉にリンジュは怒りを覚えていた。
まるで自分だけが彼に一方的に執着しているのだと言われたようで、それは自分のことを興味を持つほどの存在ではないと言われた、そう受け取ったからだ。
だからリンジュが取った行動はセルジオの忠告とは逆で、剣を引き抜くとセルビオに向けて全力で駆け出すと言うものだった。
正確には駆け出すつもりだったが正しい、リンジュは剣を抜き動き出す直前で上空から何かが自分に向けて飛来していることに気づき剣を使って防ごうとした。
だがそれは少し遅かった、彼が剣を掲げて振ってくる矢に対応するよりも早く降り注いだ矢はリンジュを含めたリーリアン国の軍を飲み込んだ。
「弓術Aランクスキル流星、降り注ぐのは放った矢ではありません。スキルにより生み出されたエネルギーです。だから打ち出す矢はその辺に落ちている枝でも構いませんし、一撃で全て倒しきれるから弓は一度打てればいい即席でも構わないのです」
地面に倒れ伏すリーリアン国の兵士を見下ろしながら、枝と草で作った折れた弓もどきを地面に放り投げ、遅れて地面に振ってきて地面に刺さらず中ほどで折れた枝を見ながら血の海に沈む兵士を跨ぎながら直進するファズ。
セルビオとエルフ達はその背を恐る恐るついて歩く、倒れている人の兵が怖いのではない、目の前で多数の兵士を一撃で殺して何事もなかったかのように歩いているファズが怖いのだ。
この日ファズはセルビオの部下499人、リーリアンの兵士500人を殺害したのだがそのことについて彼は何とも思っていなかった。
彼にとってダンジョンの役に立つか立たないかそれだけが判断基準だ、そして役に立たない者を殺すことに虫の命を奪うことほどの罪悪感も覚えない。
なお余談なのだが、ダンジョンに戻った後にダンジョンマスターに1000人近い兵士を殺害したことを報告したところ、さすがに殺しすぎと怒られることになり、ファズは世界の終わりが訪れたかのように落ち込むことになるのだが、この時のファズはそのことをまだ知らない。
「あー…えっとあんたの名前をまだ知らないんだが、俺はセルビオ、あんたのいや、あなた様の名前を教えてもらえないか?」
無言のまま歩くファズの背中にセルビオはそう声をかける、その問いかけにファズは振り返り、満面の笑みを浮かべると
「私の名前はファズ、ダンジョンマスター様より、始まりという意味をいただいたガーディアンです、しっかりと脳に刻んでおきなさい、私の名前を間違えるということはダンジョンマスター様に対する侮辱と取り生まれたことを後悔させますので」
正確には一番なのだが、英語のファーストとかけている為使っている言語の違うこの世界ではその言葉を知る者はおらず、結果ファズのいう事を訂正できるものはこの場には一人も居らず、それよりも名前を間違えたら大変なことになりそうだと、全員がファズの名を脳内で反復していた。
そんな中セルビオが改めてファズに声をかける。
「ファズ…様どうしてリンジュの奴は生かさなかったんだ、奴はそれなり以上の使い手だ。ファズ様が俺を仲間にしたようにあいつも仲間にした方がファズ様の主に都合がよかったんじゃないのか?」
セルビオからすればリンジュは自分に劣る使い手だと思っている、だがファズからすればセルビオもリンジュもどちらも弱者として同じラインに立っているだろう、にもかかわらず自分は選ばれリンジュには生き残る可能性すら与えなかった、この違いはなんなのか、セルビオは気になっていた。
そんなセルビオの質問にファズはセルジオを見ながら答える。
「強くなる理由を誰かに依存している者は本当に強くはなれませんよ、この先貴方とあの男を同時にダンジョンに連れて帰り競わせても、あの男はきっとなんだかんだで心が折れていたでしょうからね、エルフ達と共に暮らすことを考えれば強くならない者をダンジョンに連れて帰りエルフ達のストレスの原因にするのは好ましいとは言えません、誇りなさい貴方は私の厳しい審査を潜り抜けて、ダンジョンに移住することを許されたのですから」
ファズはそう言ってセルビオの質問に答えるのだった。
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