最恐だけど平和

音彩

第1話

まえがき


この物語には、

大きな事件は起きません。


誰かが怒鳴ることも、

誰かが裁かれることも、

はっきりとした解決もありません。


描かれているのは、

ただ、日常の中で

少しずつ形を変えていく空気と、

それに適応していく人たちの記録です。


登場人物の行動には、

理由が説明されないことがあります。

説明されないまま、

物事が進んでいく場面もあります。


それは欠落ではありません。

この場所では、

説明が必要とされないからです。


読み終えたあとに

何かが残らなくても、

それは失敗ではありません。


この店も、

この世界も、

何もなかったように、

今日も開いています。

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