第34話 焼き肉食べ放題
今日は休みだ
昨日までの仕事の疲れが、じわじわと体の奥に残っている。筋肉痛というほどではないが、魔力を酷使した後特有の鈍い重さが抜けきらない。こういう日は、無理に動かず休むに限る。
昼過ぎまで寝て、起きてからも特に何をするでもなく過ごした。装備の点検は昨日のうちに終わらせた。今日はやらない。完全な休みだと自分に言い聞かせる。
ただ一つ問題があった
冷蔵庫を開けてみるが、ろくなものが入っていない
腹が減った
簡単に済ませる気にもなれず、どうせ外に出るならしっかり食べたいという気分になっていた
焼き肉
肉を焼いて、腹いっぱい食べる
単純だが、疲れた体には一番効く
着替えて家を出る。昼と夜の境目くらいの時間帯で、店も比較的空いているはずだ。馴染みの焼き肉屋は、駅から少し離れた場所にある
店の前に着いたところで、足が止まった
入り口の前に、一人の少女が立っていた
銀髪の長い髪
低い身長
感情を読ませないジト目
見覚えしかない
ダンジョンで出会い、ラーメン屋で特盛勝負をした、あの少女だ
一瞬、引き返すという選択肢が頭をよぎる。
だが、その前に少女がこちらに気づいた
目が合う
次の瞬間、少女は何事もなかったかのように入り口の扉を開け、店員に向かって指を二本立てた
二人
完全に自然な動作だった
最初から一緒に来た客のように
俺は一拍遅れて動揺する
否定するタイミングを完全に失ったまま、流れで店内に入ることになった
席に案内され、向かい合って座る
焼き台の熱が、まだ冷たい
少女はメニューを開き、迷いなく食べ放題のページを指さした
少女がニヤリと笑う
確信する
これは勝負だ
ラーメンの時と同じだ
言葉はないが、挑発は十分すぎるほど伝わってくる
俺は小さく息を吐き、同じプランを注文した
こうなったら、受けて立つしかない
最初に運ばれてきたのは、定番のカルビとロース、タンの盛り合わせだった
網に肉を乗せた瞬間、脂が落ちて音を立てる。立ち上る煙と香ばしい匂いが、空腹を一気に刺激する
焼けた肉をタレにくぐらせ、口に運ぶ
噛んだ瞬間、肉汁が広がる
甘辛いタレと脂の旨味が混ざり合い、思わず目を閉じそうになる
うまい
向かいを見ると、少女はすでに次の皿を注文していた
しかも量が多い
焼く、食べる、また注文する
そのテンポが異常なほど速い
小さな体のどこに入るのか分からない
一皿、また一皿と、肉が消えていく
ハラミ、上カルビ、ホルモン
網の上が空く暇がない
俺が焼いていた肉が、ふと気づくと消えていた
視線を上げると、少女が何事もなかったかのように咀嚼している
やられた
ならばと、今度は少女が焼いていた肉を、焼き上がった直後、素早く口に運ぶ
タレをつけて、熱々のまま食べる
多少強引だが、味は変わらない
その瞬間、少女がこちらを睨んだ
鋭い視線
だが、怒っているというより、闘志を燃やしているようにも見える
そこからは完全に意地の張り合いだった
肉を焼く
食べる
奪う
また注文する
網の上は常に肉で埋まり、煙が途切れない
周囲の客がちらりとこちらを見るほどの勢いだ
味は文句なしに美味い
赤身の旨味、脂の甘さ、タレと塩の使い分け
だが、量が問題だった
次第に、腹の中が重くなってくる
満腹感がじわじわと押し寄せる
一方、少女のペースは落ちない
注文の手が止まらず、肉は次々と運ばれてくる
小さな体で、信じられないほどの量を平然と食べ続けている
俺も粘った
限界まで食べた
それでも、最後に箸が止まったのは俺の方だった
少女は最後の一枚を平らげ、こちらを見る
少女がニヤリと笑った
勝敗は明らかだった
俺は素直に負けを認め、会計を済ませる
二人分の金額は、それなりに重い
店を出ると、夜風が心地よかった
少女は特に何かをするでもなく、そのまま別方向へ歩き出す
振り返りもしない
少し、ムカついた
次は勝つ
そう思いながら、俺は家路についた
本作を読んでいただきありがとうございます!
勢いで描き始めた作品なので話の矛盾点や誤字脱字などがあったら教えていただけると嬉しいです!
あと、主人公はモブなので基本的に登場人物に深入りなどはしません。当時人物がどんな性格か、どれくらいの強さかといったことが気になったらコメントしてください!
そして少しでも面白いと思って頂けたら、作者の励みになりますので♡や⭐︎、感想などよろしくお願いいたします!!
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