Op.Ⅺ "Sciolto"

私は、例の青年と出会った都市に戻った。

彼はまだあのボロボロな家に居た。此度は、青年に挨拶だけをして前の都市へと戻った。

彼は私と出会ったあの時よりも心なしか健康そうになったように見えた。町のホームレスも減ったと思う。どうやら、独裁の市長が射殺されたらしい。私が去った日のあの朝に。

そしてその1つ前の寒冷な都市にも戻ってきた。老人はまだ元気に家族と暮らしていて、私が訪問した時には上着を大切に使っているか、と聞いてきたので、私は静かに頷いた。

そしてすぐ、老婆はあの日と同じように私の手を力強く握った。

老人たちにも別れを告げ、私はこの国の最初の都市へと向かった。

青年にも老人にも同じ言葉を贈った後に。


"また、いつか。"


と。

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