第3話
放課後になると、私は図書室に向かった。
スマホにはまだメッセージが届いていない。
図書室の扉を開けると、中には誰もいない。
少し陽が落ちた空の色が窓から差し込んで、時計の音が響いている。
『図書室に着きました。』とメッセージを打つ。
待ってるね、と書くべきか悩んでいると、扉が開く音が響いた。
「待った?」
「いいえ、私も少し前に着いたばかりよ。」
「そっか。良かった。」
帰ろうか、と言う彼の横に並んで図書室を出る。
「詩織、今日はどうだった?」
「…緊張したけど楽しかった、かな。」
「そっか。」
「やっぱり、蒼と同じ校舎にいるだけで安心するわ。」
「まぁ、俺も。詩織がいるから、安心した。」
「蒼も緊張したの?」
「うん。入学式とか、壇上から詩織を見つけてホッとしたよ。」
「そんな風に見えなかったわ。」
別々のクラスだけれど、こうしてわずかな時間を一緒に歩くことがとても幸せ。
お互いに見つめ合いながら歩幅を合わせる。
これから、一歩ずつ…
私は心の中で小さく呟きながら、新しい高校生活の始まりに胸を高鳴らせるのだった。
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