第二十三章 新しい世界の形
和平交渉が始まった。
場所は——コンビニのイートインスペースだった。
「なぜ、ここなんだ」
人間側の代表が、戸惑った表情で言った。
「狭いだろう」
「狭いからいいんだ」
創太は答えた。
「広い会議室じゃ、威圧し合うだけだ。狭い場所で、顔を突き合わせて話す方がいい」
「……」
代表たちは、渋々と席についた。
人間側の代表、魔族側の代表、そして創太。
三者が、小さなテーブルを囲んでいる。
「まず——」
創太がおにぎりを差し出した。
「腹ごしらえだ」
「はあ?」
「空腹だと、いい話し合いはできない。まず食え」
代表たちは困惑しながら、おにぎりを受け取った。
一口食べる。
「……美味いな」
「だろう」
創太は微笑んだ。
「これが——俺の店の商品だ」
「……」
「こういう美味いもんを、みんなで分け合えれば——世界は、もっと良くなると思わないか」
代表たちは、互いの顔を見合わせた。
やがて——小さく笑い合った。
「……変な奴だな、お前」
「よく言われる」
交渉は、そこから始まった。
何時間も、何日も——話し合いは続いた。
しかし、以前とは違った。
憎しみではなく、理解を求める対話。
対立ではなく、共存を目指す議論。
そして——
「合意だ」
ついに、和平条約が結ばれた。
人間と魔族は、共存の道を歩むことになった。
「やったな」
カイルが、創太の肩を叩いた。
「ああ」
創太は頷いた。
「でも、これからが本番だ」
「本番?」
「条約を結ぶのは簡単だ。問題は、それを守り続けること」
創太は窓の外を見た。
「長い道のりになる。でも——」
「やるしかないな」
「ああ」
二人は、並んで空を見上げた。
新しい世界が——始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます