#5

ハガキに記された住所には、やはり立派な家が建っていた。

表札を見る限り、この家で間違いなさそうだ。


(さてと、どうするかな……)


耳を澄ませてみる。


(……おっ、lucky!)

微かに猫の鳴き声が聞こえる。

どうやら、この家では猫を飼っているらしい。


家に近づくと、窓越しに声をかけてみた。

寄ってきたのは、グレーのラインが入った垂れ耳の猫だ。

血統書付きのスコティッシュフォールドというところだろうか。


家猫で、世間知らずそうな顔をしている。


「この家の家族構成を教えて欲しい。」

そう言うと、垂れ耳は小首を傾げ、頭の上にはてなマークが浮かんだ。


「チッ、鈍臭いやつめ。」

イライラして尻尾が二つに割れてしまう。


それを見た垂れ耳は、察したのか、さらに耳を垂らしながら


「す、すみません、五人でふっ。」


と、言葉を噛みながら答える。


「その中に年寄りはいるか?」


「は、はい……お祖父さんが一人……」

お尻をずりずりと下げ、土下座スタイルで答えた。


(なるほど……)


作戦は決まった。

名付けて――『夢枕大作戦』だ。


夜ごと、このお祖父さんの枕元に忍び寄り、耳元で座敷童のこと、神棚のことを囁き続ける。


三日間、それを続けたところ――ついに、お祖父さんは動き出した。


その家にいた二人の孫たちに、こう伝えたのだ。

「昔、俺が遊びに行ってた、じいさんばあさんの家のこと、ちょっと調べてきてけろ。」


二人の孫は男子大学生で、もうすぐ春休みに入るところだ。


(これでよし。さぁ、座敷童のところへ帰ろう。)


一応、ビビりまくっていた垂れ耳にお礼を言い、猫又はこの家を後にした。

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