第2話  でかいインコに襲われた

 いやこれは夢か…いやそう思っても、なんか変な匂いするし、肌もなんかヒリヒリする。制服のブレザー越しにでもそれは感じた。っていうか、いまわたし、何かにのしかかられてる。


「いやあ、ひさしぶりの獲物だぜ!それも人間じゃんか。これはついてるやつやん!」


 それはなんとまあ巨大な鳥。インコみたいにくちばしのひん曲がった、えらく極彩色あふれる羽毛に覆われている。そいつがいま舌なめずりをしてわたしを見てる。いやそれより言葉を話しているのに驚いた。しかも日本語で。わけがわからない。とにかく言葉が話せるならやることはひとつ。


 「ごめんなさい!わたし間違えてここ来ちゃったんです。まさかあなたのテリトリーとは知らず、迷い込んだわたしが悪いんですけど、そこを何とか勘弁してもらえないでしょうか?」


 身体は鳥の足でがっちり押さえられているけど、腕は動くみたい。わたしは必死になって手を合わせ、拝んだ。


「うわっこいつ、俺らと話せるのかよ!マジキモい。人間がおれらの言葉をしゃべるなんて、おまえ一体何者だよ!」


 いまにも食いつきそうにそのでかいインコみたいなやつはわたしをのぞき込み、そう言った。何者だよと言われても、わたし困る。


「わたしはしがない女子高生よ。だから食べてもあまりおいしくないわよ」

「女子高生が何なのか知らないが、ウソは言うな。こんなに脂ののったうまそうな体して」


 ちょとそれは頭くるわ。太らないよう大好きなスイーツだって我慢してるのに、脂がのったなんて、乙女には絶対言っちゃいけない言葉よね!ぶっ飛ばす!


 とはいうものの、武器なんてわたし持ってない。ポケットにはスマホとお財布。そばにあるのは学校のカバンだけ。


「ちょっと!はやくどかないと数学の教科書が入ったカバンをお見舞いするわよ!なんたって呪われた教科なんだからね!」


 数学とは、呪いの呪文が書いてある恐怖の科目。公式をみっつ覚えるだけで脳が焼けるほどにね。


「の、呪いだと…」

「いいからはやくどけーっ」


 わたしは思いっきりカバンを振り回した。それがでかインコの屈んだ顔面に運よくヒットしたようだ。


「いでえーっ!」


 殴った方の反対側の眼が飛び出てしまったみたい。いやわたしそんなに力入れてないよ?


 だがでかインコは驚いてわたしを放し、飛び去って行った。ポカーンとしているわたしは、すぐに気を取り直した。まだあんなでかい鳥が空にうじゃうじゃ飛んでいる。こうしちゃいられないのだ。わたしは急いで立ち上がり、逃げる場所を探した。ふと気がつくと、さっきの鳥が落としていった目玉が落ちていた。気味悪かったが、わたしは何かを感じ、それを大きな葉っぱでくるみ手に下げた。異世界第1号の戦利品ってやつよ。もとの世界に帰ったらみんなに自慢してやるんだ。まあ友だちとかいないけど…。


「おいおまえ、こんなとこで何やってんだ?」


 後ろからそう声をかけられた。まるっきり気配がなかったのに、わたしのうしろには数人の人間がいた。

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