第30話 神社③
金曜日の昼休み、私はサクラと二人で昼食をとっていた。
「アザミ今日大学終わり時間ある?」
「大丈夫だけど、どうしたの?」
「アザミこの前夜景見に行きたいって言ってたでしょ?それで良さげなところを見つけたから一緒に行かない?」
私はサクラが夜景のことを覚えていたことに少し後悔した。それでもせっかくのサクラからのお誘いを断る選択肢は私にはなかった。でも、今日なんだ。
「私はいいけど、サクラこの後もう講義ないよね。私五限目まであるよ?」
サクラは嫌そうな顔をした。
「私、来週提出のレポートがあって、全然終わってないからこの後図書館で終わらす」
サクラにも予定があることに私は安堵した。でも、昼休みが終わってから五限目の講義が終わるまで五時間くらいはあるよね。やっぱりサクラを持たせることになっちゃうかもしれない。
「そうなんだ。でも待たせちゃったらごめんね」
「逆に終わる気がしない…」
サクラは下を向いて頭を抱えていた。
「ふふ、頑張って」
「頑張るー」
二人で夜景、やっぱりちょっと嫌かも。でもサクラが楽しそうだから、今はそれだけでいいや。でも夜景ってここらへんで見れる場所、あるのかな。私はサクラに今日の目的地を聞いた。
「夜景ってどこで見るの?」
「夜景スポットで調べていたらよさそうな神社があって、行きやすそうだからそこで見ようと思う」
サクラは楽しそうに話した。神社で夜景が見れるんだ。
「楽しみだね」
「うん!」
サクラは私の言葉を聞いて嬉しそうに返事をした。時間を確認すると三限目の講義が始まる十分前だった。私は準備をしてサクラに話しかけた。
「私そろそろ行くね」
「いってらっしゃい。また後で連絡するね」
私は一人先にラウンジを出た。
私は五限目の講義が終わり、スマホを確認したけど、サクラからの連絡がなかった。どうしたんだろう、やっぱり待ち時間が長くてどこかで時間を潰しているのかな。それとも帰っちゃったのかな。私はひとまずサクラに連絡をした。
『五限目終わったよ!サクラ今何処にいる?』
既読がつかない。スマホを見てないのかな。どうしよう、連絡がつかないなら下手に動くわけにも行かないし。一応図書館を見てみようかな。私は自販機でサクラ用に温かいココアを買ってから図書館に向かった。
図書館を探しているとレポートを書いているサクラを見つけた。こんな時間まで頑張ってたんだ。私はサクラの隣に座り話しかけた。
「サクラお疲れ様」
私に声を掛けられてサクラは驚いていた。
「アザミ!?」
「サクラしーっ!」
思ったよりも声が大きかったので私はサクラに小声で注意した。サクラもやってしまったって顔をしていた。私は小声でサクラに話しかけた。
「サクラごめんね、驚かせちゃったよね」
サクラは首を横に振った。
「いやいや、私も図書館で大声出しちゃってごめん、でも何でアザミがここにいるの?」
「私はもう講義終わったから。それでサクラと連絡がつかなかったから図書館を見に来たの」
サクラはスマホを確認すると勢いよく顔を上げて顔の前で両手を合わせた。
「アザミごめん!全然気づかなかった。それにもうこんな時間じゃん」
私は買ってきたココアをサクラに渡した。
「サクラココア大丈夫だよね。まだレポート頑張るなら私は待っとくよ」
サクラは私からココアを受け取ると嬉しそうな顔をした。
「ココアいいの?ありがとう!レポートはまた別の日に頑張るからもう行こ!」
サクラってそんなにココア好きだったんだ。
サクラは片付けを済ませて、私と一緒に図書館を出た。
「サクラ、どうやって夜景を見るところに向かうの?」
「地下鉄で行くよ、駅からちょっと歩くけどごめんね」
「私は大丈夫だよ」
私たちは図書館から駅に向けて歩き出した。
「アザミ本当にごめんね、待たせちゃった」
サクラが申し訳なさそうな顔をしていた。私は首を横に振った。
「全然待ってないよ、サクラも長い時間レポートお疲れ様」
「結局終わらなかったけどー」
「私なら終わるまで待ったのに」
サクラは可愛らしく怒った顔を見せた。
「駄目!私いつもサクラに待ってもらってるもん!レポートも頑張れば提出日に間に合うくらいは進んだし大丈夫だよ!」
いつも待ってもらっているっていうのは休日のことも言っているのかな。あれは私が浮かれて早く着いているだけなんだけどな。それにサクラはレポートを頑張っていたのに、私は少しでもサクラが帰ったんじゃないかって思ってしまったことに反省した。
「ごめんね、サクラはレポートを頑張っていたのに私はもうサクラ帰っちゃったのかなって思っちゃった。夜景楽しみだね」
サクラは私の言葉を聞いて足を止めてしまった。
「サクラ?」
私はサクラの顔を見ると、サクラは真面目な顔をしていた。
「私がアザミと一緒の時間を自分から投げ出すことは絶対にしないよ。これからも絶対に、信じて」
サクラの私を真っ直ぐに見る目を見て、私は嬉しいとは違った、それでもなんて表現したらいいかわからない感情になった。私は我に返って明るい口調で返した。
「ごめんごめん」
「本当だからね!」
私の明るい口調に呼応するようにサクラも明るい表情になっていた。サクラに信じてって言われた時、私は何を思ったんだろう。いつもの好きって気持ちとはまた違った感じがした。…今考えても仕方ないよね。
「アザミ早く行こーよー」
サクラが笑顔で私を呼んだ。
「そうだね」
私はサクラの隣に立って、一緒に駅まで向かった。
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