ガタルギア、緊急メンテナンスの罠🌸

「……信じられない。私の誇り高き誘導兵装が、あんな素人にあっさりと手掴みにされるなんて……っ!」

暗黒観光協会(K.T.A.)の極秘ドック。七海和歌は、傷ついた**GA-TAL GEAR(ガタルギア)**のコックピットから這い出し、怒りに震えながら床を叩いた。彼女のプライドは、幸来の規格外な幸運によって、文字通り「物理的」に粉砕されていた。 


「あら和歌さん、随分と手ひどくやられたわね」

ドックの二階から見下ろすのは、開発責任者のマダム・フォルツァだ。彼女は扇子で口元を隠しながら、冷酷な見積書を突きつける。

 

「手掴みで回路をショートさせられた泥(ドロ)ビットの修理には、特別なガタニウム・コーティングが必要よ。緊急メンテナンス費用として、追加で1,000万ガタポンの課金を承認してちょうだい。それから——スペアパーツが足りないから、仲田さんをシステムのバイパス用パーツとして組み込むわ」 


「ひっ、ひいいい……! フォルツァ様、お助けください! 私は予備の歯車(パーツ)ではありません、一応は事務局長なんです……っ!」

ドックの隅で、いまだに黄金のワラスボ全身タイツを着せられたままの仲田事務局長が悲鳴を上げた。彼の胃壁は、過酷な労働環境と不条理な「寵愛(むちゃぶり)」により、すでに限界を超えていた。 


「おいおいおい、ブラック企業も真っ青な展開だぜ🌸」

その様子を、盗み見ている『ワラスボ・ポーチ』の画面越しに山本マキが吐き捨てた。 


「あのメンテナンス料の設定、某・悪徳課金スマホゲームのパクリそのままだぜ🌸 仲田のオッサンをパーツにするなんて、倫理観が某・世紀末救世主伝説の雑魚キャラ並みに欠如してるんだぜ🌸 あまりの非人道っぷりに、あたいのハッキング・キーを叩く指が震えるんだぜ🌸」


「わぁぁ🌼 仲田さん、機械さんと合体するんだぉ🌼 強そうだぉ🌼」

鹿島幸来は、『ムツゴロウ・ショルダー』から取り出した「ガタニウム饅頭」を頬張りながら、呑気に画面を覗き込んでいる。 


「(通信音)……仲田、耐えろ🥷」

泥の中から、**REDDAS WRSB(レダス・ワラスボ)**のシリアスな通信が入る。 


「(通信音)……君がガタルギアのシステムに直接組み込まれれば、内部のメインサーバーに直接アクセスできるチャンスだ🥷 起動コード『CICO(チコ)』の全容を掴むために、君の胃痛をデジタル信号に変換して送信しろ🥷」


「REDDASさん……! 私に死ねというのですか……っ! 私の胃が……私の胃が、システムエラーの警告音(ビープ)を鳴らしています……っ!」


仲田の絶叫がドックに響く中、彼は無情にもガタルギアのメンテナンス・ポッドへと引きずられていった。鹿島の平和と、一人のサラリーマンの胃壁を天秤にかけた、アニマの狂気の改修が始まろうとしていた。 

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