誕生

山木 元春

第1話

「キミの名前が牧本三賀日だったら、みんなに誕生日を忘れられることもなかったのにね」


 俺の前の席に座る女子生徒がいたずらっぽくそんなことを言った。実際俺は生まれてこの方、家族以外から誕生日を祝われたことがなかった。それは俺の誕生日が三賀日であること……すなわち一月三日生まれであることが主因として考えられる。


「忘れられてるんじゃあない。冬休みで誰にも会わないから、祝ってもらう機会がないだけさ」


 なんておどけて、けれど考えていることはほとんどそのまま返すと、彼女は鼻を鳴らして、にんまりと口角を持ち上げながらこう言った。


「それはどうかしら。わたしの誕生日も祝日で休みだけど、たくさんお祝いのメッセージが届くわよ?」


 と、ドヤ顔で。偉そうなことを言う彼女の名前は小島海乃。国民の祝日、海の日生まれ、だ。

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