廃村へ(再び)

程なくして村の男衆がやって来る。


ニコ

「ありがとうございます。あとは手筈通り、お願いします。」


カイ

「頼みますっ」


短く伝え、二人はすぐに廃村へ戻る。


日が傾き、廃村は薄暗さを増していた。


「たぶん、敵はもう多くないよ。でも、油断はしないでね。」


「ああ、一番厄介なやつが残ってるからな」


そう言いながら、カイは楽しそうに笑う。


「…気配がないね。カイ、わかる?」


「たぶんあっちだな。雑魚ももういなそうだぞ。」


「さすがだね、野生動物並み」


「うるせぇ」


いつものやり取りで、二人は自然と呼吸を整えた。


「ここだ。準備はいいか?」


ニコは静かに頷く。


次の瞬間、カイが廃屋の扉を蹴破った。


ーーいた。


奥で男が静かに座っている。

待っていたかのように。


ニコは冷や汗をかく。

カイは笑う。


数秒の沈黙。

男が、ゆっくり立ち上がる。


「…いくぜっ」


踏み込んだ瞬間、カイは反射的に身を引いた。

服が裂け、うっすら血が滲む。


(…カイ)

ニコは声を失う。


「おっさん、早いな。」

「ニコ!本気でやるからそこにいろ!」


「わかった。危なくなったら加勢する。」


「よし!」


汗が、額を伝う。


一進一退。

刃が噛み合い、間合いが崩れない。


ーー隙。

カイが踏み込む。


鮮血が舞った。


「カイっ!」


「…大丈夫だ。」

(わざと隙を見せやがった。)


カイの口角がわずかに上がる。


「カイ、ここまでだよ。加勢するからね。」


「ああ。」


ここからは、二対一。


(カイが斬られるほどの相手…)

ニコは思考を巡らせる。

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