第20話 幼なじみに食事を奢ってもらいました

 それからが大変だった。


 第二訓練場の天井が崩壊して、第二訓練場が崩壊した。

 私は障壁を展開して一応皆を守れたと思う。


 あわわてて飛んできた騎士や先生達は私の雷撃によって黒焦げになったデニスやフランツ達を保健室に運んでいった。

 残された私は怒りまくった学園長の前に連れて行かれた……


「今までこの学園で第一訓練場と第二訓練場の両方を破壊したのは君で二人目だ」

 学園長の指摘を聞いて私は自分が初めてでなくてほっとした。

「本当に、親が親なら子も子だ」

 次の学園長の言葉の意味がよく判らなかった。


「学園長!」

 それをヨーゼフ先生が止めていたけど、やっぱり学園長はお母様を知っているみたいだ。

 エーレンの言うとおりお母様はこの学園の卒業生なのだろうか?


 それを聞こうと思ったんだけど、私はそれからも延々と学園長に叱責されて、お腹が空いてそれどころではなくなった。

 これ以上余計な事を言って私の食事が無くなったらまずいと思って黙っていた。


 なのに、なのにだ!

 やっと終わって、食堂に行ったら既に全ての食事が売り切れた後だったのだ。


「ごめんね。今で最後の一つが出たところなの!」

「えっ、そうなの?」

 食堂のおばちゃんが私に教えてくれた。私は前のトレイを持った人間を見た。

「えっ、どうかした……? ヒィィィィ」

 それはなんとライナーだったのだ。ライナーは私を見て転けそうになりながら必死に食事を死守しているんだけど……そんなライナーから、まさか食事を取り上げる訳もいかず、私は諦めたのよ。



「もう最悪!」

 私が頭を垂れてとぼとぼ歩いているときだ。


「どうしたんだ、アミ?」

 そこにリックが通りかかって声をかけてくれた。


「ああ、リック、今まで学園長に怒られていて、やっと学園長から解放されたんだけど」

 私がこの世の終わりのような声を出したら、

「えっ、今まで怒られていたのか? それは大変だったな」

「まあ、それは良いんだけど、それよりも食堂の食事が売り切れだったのよ。私の前でなくなって……」

「ああ、そっちか。アミは食べるのもすごいもんな」

 呆れてリックが言ってくれたけれど、

「ちょっと、リック、言い方ってものがあるんじゃないの? 私もお年頃なのに、なんか大食いみたいに言ってくれて」

 私がむっとして言うと、

「悪い悪い、どうしても食べたいのならば伝が無いことはないぞ」

 リックが言いだしてくれた。

「えっ、本当に? お菓子か何かもっているの?」

 私は慌てて聞いていた。


「いや、持ってはいないが、もう一つ食堂があるから、そちらならまだなんとかなると思うから」

「えっ、そうなの!」

 私はとても嬉しくなった。

「えっ、でも、それってお貴族様用の食堂じゃないの?」

 私はその存在を思い出していた。お貴族様の食堂は開いている時間まで遅いらしい。贔屓だ! と少し不埒な事を考えていたら

「まあ、大丈夫だから」 

 そうリックが太鼓判を押して、私を強引に豪華な作りの建物の前に連れてきてくれた。

「えっ、でも、リック本当に良いの?」

「まあ、気にしないで。そうか、減ったお腹を抱えてアミは寝れるのか?」

 リックが意地悪そうに聞いてくれるんだけど……それは無理だ。クラスの他の女の子とのところに行ってお菓子を漁る自分が見えた。

 食い意地の張ったアミのレッテルを貼られる未来が見える。

 それは流石に避けたかった。

 収納ボックスにある食料はいざという時のための物だし、あまり食べたくなかった。

 それに暖かい物は無いのだ。

 ここはリックについて行くしかないだろう。

 私は仕方なしにお貴族様の食堂にリックについて入った。


 中は平民の一般食堂とは全然違って、絨毯敷きの部屋の中に丸テーブルが広い間隔を空けて置かれていた。椅子も立派な木製の椅子だった。

 リックが入口で給仕に何か言うと給仕は頷いて私達を奥の個室に案内してくれた。


「どうぞ」

 私の席を引いてくれた。

「有難う」

 私は少しギクシャクしてお礼を言って席に着いた。


「個室って、良かったの? こんなところに案内してもらって」

 私が驚いて尋ねると、

「大丈夫だよ、アミは個室の方が安心できるだろう」

「それはそうだけど……」

 こういう所の個室は値段が高そうなんだけど……


「ここに入れると言うことはリックもお貴族様だったんだ!」

 私は尋ねてみた。

「うーん、まあ、どうだろう? アミは君のお母様から何て聞いているの?」

 リックが逆に聞き返してきた。

「えっ、私はリックはお母様の昔の知り合いの息子だとしか聞いていないわよ」

「じゃあ、それで良いんじゃないかな」

「えっ、リックは私にも本当のことを話してくれないの?」

 私が少しむっとしてリックを見ると、

「だって、君のお母様が話していないことを俺が勝手に言うのはまずいよ」

「ええええ! リックは私よりもお母様を取るの?」

 私は何故かショックを受けていた。リックの一番がお母様って何なのよ!

 私はムッとした。


「いや、そういうわけではないけれど、最初に君のお母様に約束させられただよ。余計な事は絶対にアミに言うなって。だから俺の口からは言えないよ」

「ええええ! そうなの?」

 私はご機嫌斜めだったけれど、

「さあ、このご飯で機嫌を治してよ。今日は俺が奢るから」

 給仕が持ってきてくれた食事は一般食堂では到底置いていないフルコースのデイナーだった。


 見たこともないきれいな前菜料理が私の目の前に置かれたのだ。


「でも悪いわ」

 私が断ると、

「今まで色々と世話になったんだから気にするなって」

「判った。取りあえず借りておくわ」

 私は目の前の食べ物の匂いに負けてしまった。お金も少なくなっていて……ここは借りておこうと思ったのだ。リックから借りるのはまあ、問題ないはずだ。


「頂きます!」

 そう言うとスプーンですくって食べ出した。

 一応、私はお母様からいつ何時必要になるかもしれないからと食事時のマナーは教わっていた。

 だから普通に食べることは出来た。

 まあ、でも食堂で皆でわいわいして食べるのが好きだったけれど……


「美味しい!」

 なんの料理が判らないけれど食材が舌の上でとろけた。

「これは豚バラ軟骨のトロ煮だよ」

「えっ、そうなんだ。軟骨がこんなに柔らかくなるんだ」

 私は驚いた。


 それからもリックは料理の説明をしてくれたけれど、私には半分も判らなかった。

 スープはよく知るポタージュで、美味しかったのは判った。


「学園には少しは慣れた?」

「うん、地理とか歴史は全然だけど……」

 相も変わらず地理と歴史はちんぷんかんぷんだ。

 基本的に今世は貴族の名前を理解していないとその二科目は中々難しいのだ。

 貴族のことなんか知る必要は無いの一言でお母様からは何一つ教えてもらわなかったし、貴族関係の本なんかも一冊も無かった。


「そうか、アミのお母様も極端だよね。俺が少し教えてやろうか?」

 リックが申し出てくれた。

「えっ、でも、それは悪いわよ。今はエーレンがまとめた物見せてくれたから今それで必死に覚えているのよ」

 そう、意地悪なエーレンはチョコレート片手に質問してくるのだ。

 答えられなかったらくれないから、私も必死に覚えるようになったところだ。


 そう話したら、

「エーレンはアミのことよく判っているね」

 とリックは笑ってくれたんだけど……絶対に馬鹿にしている!


「アミ、あれから王都の甘味処に行ったりしたの?」

「ううん。そんなに時間経っていないし、他にもやらないといけないことも一杯あるから」

「じゃあ、次の休みにでも連れて行ってやろうか?」

「うーん、今は良いかな」

「えっ、どうしたんだ。食べ物に目がないアミが断るなんて」

 リックが驚いた顔をしてくれるんだけど

「私も食べ物以外の事も考えるわよ」

 そう、今はお金がないから稼がねばならないのだ。丁度良いからリックに尋ねた。

「ねえ、リック、王都から近いところに適当なダンジョンないかな?」

「ダンジョン巡りか」

「そう、ちょっと手持ちが少なくなってきたから稼ぎたいんだけど、どこか良い所ある?」

 リックなら知っていると思ったのだ。昔は一緒に潜っていたし。

「そうだな。王都の南にある大迷宮はどうだ? レベルに合わせていけるからアミでも満足のいくんじゃないのかな」

 リックが教えてくれた。

「ありがとう、リック。今度の休みの日に入ってみるわ」

「大迷宮は行ったことがあるから案内するよ」

 リックが申し出てくれた。


「えっ、本当に良いの? でも悪いような気がするんだけど」

「別に良いよ。昔はアミにも世話になったからな。俺もアミの役に立ちたいし」

「うーん」

「昔みたいにアミの足手まといにならないぞ」

「それは判っているけど」

「じゃあ良いだろう?」

「判ったわ。よろしくお願いします」

 私はリックの手を煩わすのも悪いと思いつつ、王都の地理も詳しくないので、リックの好意を素直に受けることにしたのだった。

********************************

ここまで読んで頂いて有難うございます。

2人で行くってことはデート?

アミには全くそう言う感覚はありません…………

続きが気になる方はフォロー、評価☆☆☆を★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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