【第12話】好きな歌。

カーテンの隙間から差し込む光で目が覚める。



繋がったままのスマートフォンを見て、

今日は私が先に寝落ちしてしまったことに気がつく。



静かな寝息が漏れる受話器に向かって、

小さめの声で、



『京介、おはよう』


と声をかけてみる。



けれど、返答はない。



私はそっと電話を切り、

親友と出かける準備を終えてから彼にメールを送った。



——————————————————


From:帆波

件名:なし


おはよー☀️

ごめん今日は私が寝てしまったー😭笑


休講が多くて今から親友

とカラオケ行ってくる🎤(^O^)


——————————————————


木村 京介

件名:なし


おはよーです😘

やっぱり寝てたですか?★

ぐっすり寝れたですか(-.-)Zzz・・・・?


えッッ俺もカラオケなう♪(^^)w

大地もいっしょなうだよ(^^)✨


カラオケは俺と大地が盛り上げ隊

務めさせていただいております。笑

ちなみにいまも合いの手で盛り上げてきました✋🏻


帆波もカラオケ好きらしいな😍?★


——————————————————


From:帆波

件名:なし


ぐっすり寝れたです🤭

京介も寝れた??(*^^*)


おー!カラオケ一緒✊🏻♫

そして、大地も一緒なんや☺️!

盛り上げ隊なら私もうまいよ😙?

流石の京介も大地も敵わんと思う♫笑


カラオケ好き✊🏻✊🏻

京介も好きそうやね✨


——————————————————


木村 京介

件名:なし


寝れたばい🤭

でも朝起きたら電話切れてた😭(笑)


いや帆波も盛り上げるの上手いかもだけど

こっちも負けてにゃ〜ばい!😘

帆波が盛り上がってると負けられなく

盛り上がろうとする今日この頃の京介

たいねえ🤭(笑)


俺もカラオケ得意で好き🤭笑

次のオフはカラオケ決定やね😍?


——————————————————



そうやって、

次の予定はごく自然に決まった。


無理に誘ったわけでも、

特別な理由があったわけでもない。



「好き」という共通点が、ただそこにあっただけ。



会う約束も、いつの間にか当たり前になって。

電話もメールも、まるで途切れない会話の続きみたいで。




それだけのことなのに、

胸の奥が少しだけ、昨日より高く弾んでいるのが分かる。



——————————————————


木村 京介

件名:なし


また小さい声で話しかけたんやろ?😚

聞こえんかったもん🤭


いまカラオケ出る☺️♫

後は4時30分のバスで帰って

部活行ってくるたい(^^)


おう♪勝負たいねえ~😍

負けんばい!!(^^)w


帆波めっちゃ歌上手そうやしなんか

早めの緊張(笑)

帆波好きなアーティストおるん?☺️


——————————————————


From:帆波

件名:なし


小声で話しかけた🤭(笑)

朝早かったし😪


お疲れ様✨部活頑張ろうねー⚾️


私たちも勝負好きやね😂(笑)

また引き分けたらさ、その時は

仲良く隊長コンビ結成しようね😙✊🏻?笑


私は最近ハジ→にハマってる😍

分かるかいな??


——————————————————


木村 京介

件名:なし


バイト終わったかあーい?☺️

お風呂入ってきたなう★

バイト終わって家帰ったらゆっくり

休めよう✊🏻


えッそんな最初からコンビ結成たい😍

帆波と京介の最強コンビ組んで

一回かみんなの前で披露しよかね?★♫

ん?なんて?恥ずかしいて🤭?(笑)


ハジ→聞いたことない😚 聴いてみる!

俺は最近back number好き✨

花束とかよく聴く😍


——————————————————


From:帆波

件名:なし


バイトも終わったー✌🏻

京介もお疲れ様✨ゆっくり休んでね✊🏻


試合放棄しとる🤭笑っ

みんなびっくり最強コンビ

すぎて大丈夫かね?(゚Д゚) (笑)


ハジ→聴いてほしい🤭✨

会う時CD持っていくけん聞いてよ☺️


back numberも好き✊🏻✊🏻✊🏻

わたがしとか、よく聴いとった✨


——————————————————



同じ音を聞き、同じリズムを刻むのだと思うと、

まだ知らない感覚が静かに膨らんでいく。


好きな歌を教えて自分の「好き」を共有すること。


それはきっと、

自分の一部をそっと差し出すこととよく似ている。



次に会う時は、二人きり。


「ただ、歌うだけ」


そう、何度も自分に言い聞かせる。



けれど、二人だけの時間を過ごすということが、

どんなに心を近づけてしまうのか。



この時の私はまだ、何も知らなかった。



——このままどうか変わらないで。



という祈りにも似た気持ちが、加速する鼓動に

溶けるようにして、胸の奥で静かに膨らんでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る