第3話 お嬢様!こいつクビにしましょう

私は誇り高きブルースター家の現当主、マリア・ブルースター。

今日も私は人間の生き……


「お嬢様ーーー!っ!」


私は、声のする方に顔を向ける。


「誰ーーーっ!?」


なんか、黒いペンキを被った、サラの声の誰かを、門番のメイラが追いかけ回している。

メイラに止まるように指示すると、サラの声の誰かは何処かでペンキを洗い流してからやってくる。

……サラだった。

サラは、メイラを指差して叫ぶ。


「こいつクビにしましょう!」


「……何があったのよ」


サラは瞬きを一度してから言う。


「いえ、私がお使いの帰りに黒いペンキを被ってしまって、前は見えないし疲れたので、そのまま踊りながら帰ってきたら追いかけ回されて……」


「当たり前でしょう!どっからどう見ても不審者じゃないの!」


と、メイラが口を挟む。


「あ、あのバケモノ、サラさんだったんですか」


「やっぱりこいつクビにしましょう!お嬢様!」


私はメイラの肩をぽんぽんと叩く。


「マリア様……?」


「いいえ、なんでもないわ。……お疲れ様、メイラ」


そう言うと、メイラはにこっと笑って言った。


「頭ぽんぽんしたいのはわかりましたけど、私のほうが背が高いから届かないんですね。抱っこしましょうか?」


「うん、貴女クビにしようかしら」


「なんでですかぁ!」


と、サラはメイラの右手をがしっと握って言った。


「分かってるじゃない……!お嬢様、メイラをクビなんて、何を言ってるんですか!」


「貴女が言い出したんでしょう!?」


すると、サラは自慢げな顔で言った。


「ふっ……お嬢様、私の頭をぽんぽんしてもいいんですよ?あれ、届きませんか?耳までしか届かないんですね?ふふふ……抱っこしてあげましょうか?」


「あんたもクビにするわよ、バカ!」


すると、サラはもっと嫌な笑顔で言った。


「何を言っているんですか?……そんなこと、できないくせに」


「うっさいわね!サラのかわりなんて、いくらでもいるのよ!?」


「……あれー、そんなこと言っちゃっていいんですかぁ?私以外に中の良いメイドは居ないのに……」


「……わ、悪かったわね!」


そう言うと、メイラはしゃがんで言った。


「マリア様、大丈夫です。私たちは何があろうと出ていきませんから。……だから、泣きそうな顔しないでください」


「……泣いてなんかないわよ……」


「ほら、サラさんも。あまりマリア様をいじめないであげてください」


サラは、なにかぶーぶー文句を言っていたけど、最後には頷いていた。


「ところでマリア様、ずっと気になっていたのですが……」


「……何?」


メイラは、しゃがんだまま、にっこり笑って言った。


「何センチ上げ底してるんですか?」


「お嬢様、こいつクビにしましょう!」

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