とある館の初雪草
まな板の上のうさぎ
第1話 お嬢様!ベルをどうぞ
私は誇り高きブルースター家の現当主、マリア・ブルースター。
今日も私は人間の生き血を……
「お嬢様っ!」
「……サラ……」
メイド長が乱入してくる。
……私の言葉を遮ったわね……?
サラは跪いて元気に言う。
「はい!サラ・スノードロップにございます」
「サラ、あのさ」
「マリアお嬢様、毎度毎度私を声を張り上げて呼ぶのは大変ですよね?」
……また遮った。
「あの、私の言葉……」
「それで、私、天才的なことを思いついてしまったのです!」
「あらそう……」
自画自賛するのね。
「このベルなのですが!これを押してくだされば、私すぐに飛んでまいり……」
「いや、ちょっ、待ちなさいよ!」
「……なにか?」
目の前に置かれたのは、銀でコーティングされた、押して鳴らすタイプのベル。
私は生理的嫌悪を覚えた。
「これ、なんなのよ!」
「……あ、申し訳ございません。ダサいですよね……」
「そこじゃないわよ!そうだけど。ヴァンパイアは銀に弱いの!」
「そうなんですか……知りませんでした」
「知っときなさいよ、それくらい……。貴方、ヴァンパイアハンターなんでしょう?」
サラはメイド長であって、ヴァンパイアハンター。
ただ、ヴァンパイアハンターのくせしてヴァンパイアの弱点を知らないため、私と一緒に暮らすことでヴァンパイアの弱点を探り、殺そうとしているらしい。
「それに、ワーウルフにとっても苦手なものよ。我が家の門番、メイラが間違えて触ってでもしたらどうするのよ!」
「申し訳ございません、お嬢様」
私は、卓上ベルを指差す。
「……これ、一体いくらしたの?」
「約五千円でございます!」
「たっか!こんなものにそれだけの金額かけるとか……馬鹿じゃないの?」
「でも、お嬢様の持ち金と比べりゃほんのこれっぽっちも無いですよ」
「私の所持金から支出したの?貴女!」
「はい!」
いや、「はい」じゃないのよ……。
そんな元気に言われても困るだけなのよね。
「まったく……。ベルの金額は貴女の給料から差し引いておくわ。それだけ高いなら、使わないのももったいないし、売りにでも出したらどう?」
「嫌です!」
嫌なんだ……。
使い道がないというのに嫌なんだ。
「わかりました、そのベルが使えないのなら、こちらではどうでしょうか」
「……なんで自転車のベルなのよ」
「なんとなくです」
「なんとなくで買うんじゃないわよ!」
なんでこんなものを買おうと思ったのかしら、本当に……。
「で、こっちはいくらしたのかしら」
「約五千円です!」
「たっか!千円以下のものもあったでしょ!?なんでわざわざ高いものを……」
サラは当然といった顔で続ける。
「お嬢様の持ち金から差し引いたまでです!」
「じゃあ給料から差し引いておくわね」
「大丈夫です!まだ日給二万円が残っておりますので」
「そういう問題じゃないのよ……」
サラはまたなにか、ベルを取り出す。
「では、こちらのベルはいかがでしょう?」
クリスマスとかでよく見る、あの金色のベル。
「こちらは銀など入っておりませんので、安心してお使いになられるかと!」
「そう……じゃあ貰っておくわ。……で、これは」
「はい、五千円にございます!」
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