第47話 ビッグディアマンテ編完

 軍部の秘密製造拠点に突入した変美たちだったが、そこは兵器工場であると同時に、巨大な「情報の洗濯場」でもあった。

​「……匂うわ。ここ、金属の匂い以上に、**『隠蔽された紙の腐敗臭』**が充満している」

​ 変美の鼻が捉えたのは、製造計画を裏から支える莫大な「不正資金」の出所だった。


 ​■ 金融の迷宮:検査妨害の悪臭

​ プラントの管理棟には、リビアの残党と結託した大手銀行の幹部たちが顔を揃えていた。彼らは、ビッグ・ディアマンテ社への巨額融資を正当化するため、驚くべき金融庁検査妨害を行っていたのだ。

​「……マサ、あのシュレッダーの横にある段ボールを嗅いで。**『融資先の経営悪化を示す内部資料』**が、腐った魚のような匂いを発しているわ」

​ 変美は、床に散らばった財務関連資料を手に取った。

「……これは酷い。実際の債務超過を隠すために、偽造されたホログラムインクを使って財務資料を改ざんしている。銀行の検査官が来るときだけ、別の『健全な帳簿』に見えるように、特殊な化学物質で文字を一時的に消しているのよ」

​「所長、それだけじゃない! SSO(シングルサインオン)の権限を使って、金融庁のサーバー側に直接侵入し、検査データを書き換えてバックドアを作っています!」

 ■ 隠蔽の現場:消えるインク

​ その時、警報が鳴り響き、現場責任者の岩成が部下に命じた。

「検査官が来る前に、その資料をすべて『洗浄』しろ!」

​ 特殊なガスが部屋に充満し、書類の文字が次々と消えていく。融資先の破綻を示す証拠が、物理的に消滅しようとしていた。

​「……行かせないわ! 亮さん、あのガスを吹き飛ばして!」

​ 亮がスカイラインを管理棟のガラス窓を突き破って突入させ、排気ファンを逆回転させる。

「姐さん、金融庁の連中にこの『クソったれな粉飾』を拝ませてやろうぜ!」

​ 

 ■ 決着:アナログの逆襲

​ 変美は、消えかかった書類に自ら調合した**「真実の抽出液」をスプレーした。

「……デジタルで上書きできても、紙に染み込んだ『悪意の筆圧』**までは消せないわよ」

​ 特殊なスプレーに反応し、改ざんされる前の「真っ赤な赤字」と「軍部への不正流用」の記録が、鮮やかな青色で浮かび上がった。

​「岩成、あなたの負けよ。銀行を騙し、国を騙し、歴史まで騙そうとしたその体臭……。**『焦げ付いた負債』**の匂いと共に、一生監獄で過ごしなさい」

 ■ エピローグ:崩れる牙城

​ 金融庁の検査官たちが踏み込んだ時、そこには言い逃れのできない証拠の山が積み上がっていた。ビッグ・ディアマンテの資金源は凍結され、軍部の秘密兵器計画は、文字通り「資金ショート」によって崩壊した。

​ 武尊は、差し押さえられた資料の中から、父・軍司が残した**「銀行の貸金庫の鍵」**を見つけ出した。

​「……親父は、この不正融資の証拠をずっと掴んでいたんだ。だから消される寸前に、過去へ逃げるフリをして奴らを攪乱したんだな」

​ 変美は、騒がしい現場を離れ、海からの風を吸い込んだ。

「……やっと、プランクトンの死骸じゃない、潮の匂いがしてきたわね。マサ、次こそは本当に旅行よ。行き先は、銀行の審査が通らないような『秘境』がいいわ」

​【ビッグ・ディアマンテ編・完:消えた帳簿と父の行方】

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