第2話 小さな冒険と初めての仲間
翌朝、村尾仁はギルドに向かって歩いていた。
昨日の初めてのダンジョン探索で得た小さな達成感
が、まだ胸に残っている。
ギルドの扉を開けると、今日も活気があった。
冒険者たちの声が響き、資料をめくる音が交じる。
「おはようございます、仁さん」坂江幸奈が微笑んで
迎えてくれた。仁は少し照れながら頭を下げる。
「おはようございます……今日は、どのダンジョンに
行こうか」仁の心は期待に少し弾んでいた。
「今日はFランクの別の洞窟を紹介します。安全で、
短時間で探索できますよ」幸奈は手元の地図を指し
ながら説明する。
仁は頷き、準備を整えて街の外へ向かった。
雲影山脈の入り口は、昨日より少し険しそうに見える。
洞窟に入ると、薄暗く、冷たい空気が漂っていた。
仁は小さく深呼吸をして、慎重に足を進める。
すると、道の先に小さな人影が見えた。
「誰だ……?」仁は少し警戒する。
人影は手を上げて近づいてきた。小柄な少女で、髪は
栗色、冒険者らしい軽装をしていた。
「こんにちは。私は佐野麗奈、探索者です。あなたも
初心者ですか?」少女はにこやかに笑った。
仁は自己紹介し、互いに少し緊張しながらも会話を交わす。
二人で行動すれば、探索は安全で楽しいものになると
直感した。
洞窟の中で、二人は小さなモンスターと遭遇する。
仁はウィンドカッターを使い、少女は弓で攻撃した。
モンスターは弱く、あっという間に倒れた。
「わあ、すごい!でも、戦いは最小限に抑えたいね」
仁は少し笑って言った。
探索を続けると、小さな水晶の洞窟にたどり着く。
光が反射して、幻想的な景色が広がっていた。
「こんな場所、初めて見た……」仁は目を輝かせる。
「探検の楽しさは、戦いだけじゃないのね」麗奈も
頷いた。
二人は宝箱を見つけ、鑑定スキルで中身を確認する。
小さな回復ポーションと、少し丈夫な鎧が入っていた。
「役に立つね」仁は微笑み、宝箱を分け合った。
探索は戦いだけでなく、発見の喜びもあることを実感
する瞬間だった。
洞窟の最深部に到着し、二人は少し休憩する。
外の光はまだ強く、森の香りが心地よかった。
「仁さん、また一緒に探索しませんか?」麗奈が尋ねた。
仁は少し考えたが、笑顔で答えた。
「うん、これからも自分のペースで楽しもう」
二人は握手を交わし、新しい冒険の約束をした。
洞窟を出ると、外は夕暮れで、街に戻るとギルドの
灯りが温かく迎えてくれた。
「今日も無事に帰れたな……」仁は少し誇らしげに
呟く。探索者として、仲間とともに歩む小さな一歩が
、彼のスローライフを彩っていく。
これが、無職少年・村尾仁の新しい日常の始まりだ。
戦闘よりも、発見と仲間との時間を大切にする日々が
静かに、しかし確かに動き出したのだった。
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