異世界遺跡巡り(改)
小狸日
001占い
32年にも続く暗黒戦争が終わった。
切っ掛けは当事者達には大きな戦いだったが、周りから見れば小さな諍いだった。
争いは広がり4つの大国が戦いに参戦し、全ての人達が巻き込まれた。
国は疲弊し、勝者は居ないまま戦争は終わった。
戦争が終結してから168年の月日が過ぎたが
戦いは大きな傷跡を残し、人々の心も考え方も大きく変えていた。
******
女性が占いを行っていた。
テーブルに置いたカードで未来を占う。
「また占いで大きな動きがあるって出たわ。
何度も同じ結果が出るのは歴史が動くんじゃないかしら。」
女性はマクニス王国 第3王女サリナ姫。
「サリナ様、占いも宜しいですが、そろそろ勉強の時間ですよ。」
サリナ姫に話を振られた侍女は占いの結果を聞き流し、これからの予定を告げると
サリナ姫は渋々と王女としての仮面を被り、教師の待つ部屋へと移動した。
侍女はテーブルの上に広げられたカードに目を向ける。
そこには、人と川、そして雲の切れ間から光が差し込むの絵が描かれたカードが並んでいた。
王女の話を何度も聞いてカードが表す意味も覚えていた。
「人との出会いにより流れが起き、道が開かれる・・・ですね。
一体、どんな道が開かれると言うのでしょうか。」
そう呟きながら、カードをしまっていた。
******
俺と浩司は森の中を彷徨っていた。
大柄な浩司は小柄な俺に合わせて少しゆっくりと歩いてくれている。
浩司はバックを背負っているが、俺は手ぶらだ。
それでも浩司の方が体力が有り、俺に合わせて休みを取り魔法で作り出した水を渡してくれる。
「拓ちゃんは、この世界でやりたいことはあるか?」
水を飲み終えた俺に浩司が聞いてくる。
「そうだな。先ずは、この世界の情報収集と生活基盤の確保かな。浩司は?」
「やはり飯の確保だな。特に米が食いたい。」
「その気持ち良くわかる。それこそ日本人の心。そういう事なら、俺は”天地見聞録”の遺跡を巡ってみたい。」
「それって、拓ちゃんが最近読んでいた物語?」
「そう、書斎に有った2千年以上昔の勇者の物語。ここに出てくる遺跡を見てみたい。」
俺は天地見聞録の書かれていた序章を思い出していた。
ガイアの門が開いた時、世界に沈黙に包まれた。
その暗き門の奥より、大いなる災いが訪れる。
大地は割れ、全てを破壊し
海が押し寄せ、全てを飲み込み
天より火が降りそそぎ、全てを焼き尽くす
稲妻が輝き、全ての生ある者を映し獣がそれを食らう。
終末的災いの中
生き残った人間たちは神に祈った。
神は3人の使者を遣わした。
天使は人々に新たな言葉を与え
魔人は人々に新たな力を与え
勇者は人々を安住の地へと導いた
まるで冒険小説の一節の様だが、この世界で本当に起きた事実として伝わっている。
勇者が人々を救う物語。正直、物語の終わりが気に入らないが話としは面白い。
そして実際に物語に出て来る遺跡が存在し、勇者達も実在していたらしい。
「その前に、誰かに会えないと何も始まらないよ。在るはずの村も無かったし、大丈夫なのか。」
俺は光属性の魔力を周囲に広げ、生物が発するオーラを探索する。
一般的には探索魔法と言われているが、魔法ではなく魔力を使ったソナーみたいな物だ。
しかし、何度調べても人間らしきものは引っかからない。
浩司も風属性の魔力を使った探索魔法で周囲を調べてみる。
物の動きを感じる事ができ、何度か人間を発見したと言うので向かって見たが人型の魔獣だった。
森を彷徨い続け、何十回目の探索魔法で人間らしきオーラを感じた。
「浩司、遠すぎてはっきりは分からないが人かも知れない。
ただ、魔法を使っているみたいだから危険かも。」
「それでも、この世界の人間と接触するチャンスだ。
エアウォークで一気に向かおう。拓ちゃん、案内してくれ。」
俺は頷くと足にはめた魔道具に魔力を流すと体が軽くなり、飛ぶ様に木の上を走る。
気配が有った近くまで来た所で1体の魔獣が倒れているのを発見した。
人よりも大きな巨大蜘蛛
『タランキュラスじゃ。機敏な移動と、粘着力のある糸と麻痺させる毒が武器じゃな。弱点は雷か炎じゃ。
魔力に敏感で集団になると危険な相手じゃぞ。』
俺の頭の中に男の声がし、浩司に男の話を伝える。
「拓ちゃん、後を追うぞ。」
「分かったけど、戦っているのは2人だ。危険なら2人を連れて逃げるぞ。」
向かった先には10体以上いるタランキュラススと2人の男。
2人はタランキュラスの攻撃を避けるだけで精一杯だった。
******
≪俺の所為だ。俺と組んだからこんな危険な目に。ガラだけは何としても逃がす。≫
レオは命をかけて、タランキュラスを引き付けようと決意していた。
「レオ、バカな事を考えていないよな。とっとと倒して2人で帰るぞ。」
それに気づいたのかガラがレオに声を掛ける。
しかし、ガラが使える魔法は光属性。体力強化や防御、治癒がメインで攻撃力が低い上、魔力が尽きかけている。
そして、レオは魔法が使えない。
この数に対し剣以外に対抗する手段が無い。
「何か良い案でも有るのか?」
2人共、服は血が滲み、長時間の戦いは厳しい。
「賭けだが、奴等のボスを倒す。上手く行けば他は逃げ出すかもしれない。
俺が道を作るから、後は頼む。」
ガラの言葉にレオが頷く。
タランキュラスに対して剣を構えるが隙がない。何かきっかけがないと仕掛けることも出来ない。
無駄に時間が過ぎる中、突然タランキュラススの足もとが爆ぜた。
何が起きたかは分らないがチャンスだ。
「光を纏いて力となせ、ストロング。」
ガラが呪文を唱えると、体が一瞬光に覆われる。
2人は一番巨体のタランキュラスに向かって走り出した。
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