クソヤバい感情を喰らう魔眼聖眼の悪役貴族~破滅確定の悪役貴族に転生したら原作にないヤンデレ育成チートスキルに目覚めたのでヒロインたちを曇らせて全員ヤンデレという名の哀しき怪物にしてしまった件~
佐松奈琴
プロローグ――前世での最後の甘い記憶!
「
誰もいなくなった放課後の教室に柔らかな夕陽が差し込んでいた。
そんな中、俺に声をかけてきたのは、クラスの誰もが認めるマドンナ――
ツヤツヤの黒髪を高めの位置で結んだラビットツインテールが、窓から差し込む光を受けて艶やかに揺れている。制服のブレザーを着崩すことなく完璧に着こなしているその姿は、正統派美少女って感じでいつ見ても絵になる。
だけど、俺は反射的にこう返してしまった。
「……ごめん。これから速攻で帰ってゲームしたいから、悪いけどまた今度」
すると 椎野ゆめ乃の瞳が一瞬、大きく見開かれた。彼女は唖然とした表情で俺を見つめ、信じられないというように小さく息を吐く。
「……与志原くん。私より優先したいゲームって、一体どんなゲームなの?」
その声は静かだったが、どこか震えを帯びていた。
うわ、すごい高飛車発言!
さすがクラスの頂点に君臨する美少女だ。俺みたいな陰キャぼっちのゲームオタクとはそもそも思考回路の出来が違うのだ。小学二年生からの知り合いだけど、今じゃクラスでの立ち位置は天と地の差。彼女にとって俺なんかと関わるのは損でしかないはずなのに……発言も行動もまるで理解できない。
俺は少し考えて、素直に答えた。
「椎野さん、君は確かに美人だよ。でもさ、俺のタイプは超大作恋愛冒険RPG『サーザント英雄伝』に出てくるような、銀髪碧眼の高貴な美少女剣士とか、燃えるような赤髪に紅い瞳のボンキュッボンのスタイル抜群の妖艶なお姉さんなんだよね。だから正直、君のことは……なんとも――」
――その瞬間、教室に乾いた音が響いた。
バチンッ!
頬が熱い。衝撃で頭がくらくらする。
「ふぇっ?」
思わず情けない声が漏れた。椎野ゆめ乃の顔がすぐ目の前にあった。普段は整った美貌が怒りと悲しみに歪んでいる。
「与志原くんの……バカ!」
彼女の声は震えていた。
「せっかく、付き合ってあげようと思ってたのに! この根暗のゲーム廃人! さっさと死んじゃえ! ……って、嘘。……ほんとに、ほんとに、昔から好きだったのに……」
さらに彼女の口から言葉がまるで堰を切ったように溢れ出した。
「絶対後悔させてやるんだから! 明日、そのゲームのキャラのコスプレで登校して絶対に好きって言わせてやる! その時『付き合いたい』なんて言っても……もう遅いんだよ! うんん、もし告白してこなかったら死んでやる! ……って、嘘! 嘘だよ、与志原くん!」
情報量が多すぎて、俺の頭は完全にパンクした。
「えっと……嘘って、一体どれが嘘なの? コスプレで登校してくること? それとも付き合いたいって言っても遅いって言ったこと? それとも、もし告白してこなかったら死――」
――バチンッ!
今度は反対側の頬に、さっきよりも強い一撃が飛んできた。
「ふぇっ!?」
「もう、それ以上何も言わないで!」
椎野ゆめ乃の目は潤んでいた。でも、彼女が怒っているのか、悲しんでいるのか俺にはもうわからなかった。
「じゃあ……与志原くん、また明日!」
彼女は一方的にそう告げると、くるりと背を向けて教室を出て行った。残された俺は、誰もいない教室で、火照る両頬を押さえながら立ち尽くすしかなかった。
そして、しばらくすると俺は誰もいない教室でこう一人呟いたのだった。
椎野さんって、ヤンデレだったんだ。
最高じゃないか!
――あの次の日、椎野ゆめのは本当に『サーザント英雄伝』のヒロインのコスプレをして登校してきたんだろうか?
もしそうだったら、俺はきっと我慢できなかったと思う。
彼女の姿を見た瞬間、思いっきり抱きしめて、
「ごめん。俺も実は……ずっと好きでした」
って、正直に告白してしまっていたに違いない。
でも、結局――俺はその姿を見ることはできなかった。
なぜなら、その日の夜に(たぶん)死んでしまった俺は、『サーザント英雄伝』の世界へと転生してしまったからだ。
しかも、転生したのはあろうことか、あのゲームの大多数のプレイヤーと主要キャラクターから徹底的に嫌われまくっている、とんでもなく怠惰で愚かなあのキャラクターだったのである。
でも、ヤンデレ好きのせいでまさかあんなとんでもスキルに目覚めてしまうなんて……。
―――――――――――――――――――
毎朝7:06 に更新します!
今回のエピソードが面白かったと思ってくださいましたら、作品フォローや『★で称える』の+ボタンを押して★★★評価をしていただけるとめちゃくちゃうれしいです!
作者の何よりのモチベーションになり、執筆の活力になりますので何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m
―――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます