第18話 全員助ける 敵は殲滅 目指せ完全勝利!
母猫と戦っていた炎鷲は残り五羽だったはずだが、駆け付けてみると残り二羽になっていた。
母猫に合流した兄弟猫達の加勢もあり、三羽は倒したようだ。
だが、母猫も兄弟猫達も火傷でボロボロの状態だ、もう限界に近いんじゃないのか?
もう休んでいいよ、残りは俺がやる!
……と思ったら、残った二羽の炎鷲は他の鷲達より大きかった。一羽は一回り、もう一羽はふた回りも大きい。ちょっとだけ風貌も威厳がある感じで、威圧感も半端ない。
ボス炎鷲というわけか? 炎鷲女王と炎鷲王ってか?
でもまぁ多分行けるだろ。
受けてみろ、俺の攻撃を!
あ、しまった。
魔力を抑えた攻撃をしてしまった。つい、どこまで魔力を抑えられるか試してた時のままの威力で。せっかくの不意打ちのチャンスだったのに…。
魔力を節約してる場合じゃなかったね。でも、少しはダメージが入ったようで、二羽の注目をこちらに向かせる事はできたようだ。
手加減して勝てる相手ではなさそう。と言う事で、俺は持てる魔力の半分ほどを注いだブリザードカッターを準備。
不用意に襲いかかってきた小さい方の炎鷲を一撃両断してやった。
だが、小さい鷲に気を取られた間に大きい方が
てかお前は仲間がやられても一切お構い無しかい?!
炎鷲王の高速弾、避ける事かなわず。あえなく被弾。
幸いにも
ただし、一段目のスモールシールドは破壊されてしまい、二段目のシールド(傘)でなんとか防ぎきった状況だった。ヤバイ威力だね。
おそらく今のは火球ではない。
だが、防御魔法の二段目までで防げるならまだ大丈夫……と思ったらなんとボス鷲、すれ違いざまにその強力なヤツを十発以上連発してきやがった。
攻撃はなんとかシールドで防ぎ切れてるものの、魔力はごっそり削られ、あっという間に枯渇しかける。
慌てて泉の水を飲んで魔力を回復させるが、ボス鷲はすぐに高速Uターンしてきて再度攻撃が開始され、防戦一方になってしまう。
今のところダメージは受けていないがジリ貧だ。こちらのエリクサーがなくなるのが先か、炎鷲王の魔力が尽きるのが先か、試してみるのいいが……、やっぱりなんとか反撃に転じたいな。
攻撃力が強すぎて怖いので防御を捨てる事はできないが。さて、どうするか。
と考えていると、なんと
母猫がタックル攻撃を仕掛ける。一応【防風鎧】は纏っているが効果は薄いようで、一瞬捕らえたかに見えたが、あっさり振りほどかれ落下していく母猫。
だが、炎鷲は母猫の攻撃に気をとられている。絶好のチャンス! 今なら不意打ちが可能だ!
だが、そうはできないだろ……せっかく母猫が作ってくれた隙だが捨てて、俺は慌てて母猫の所に駆け付けた。母猫の命が尽きかけているのを感じたのだ。
もちろん炎鷲王が追ってくるので、一瞬母猫の近くを通過しただけで、再び炎鷲王を引き付けて逃げる事になった。
だがそれで十分!
すれ違いざまに亜空間に収納した泉の水を何個か開放、母猫に掛ける事に成功した。
俺は再びシールドを削られながら鷲から高速で逃げる。
だが、さすがボス鷲、飛ぶのも速い。
最高速の【サイクロンラン】を使えば逃げ切れるだろうが、本当に逃走離脱してしまうとまた鷲は嵐猫達に向かってしまうだろうからそれはできないか。
だが、今の母猫の攻撃がヒントになった。
俺は逃げ回りながら準備をし、空中に足場を作り急停止して振り返った。
そう、炎鷲の火属性攻撃はシールドで防げているのだから、逃げ回る必要はなかったのだ。逃げ回ればさらに連続で攻撃を受け続ける事になる。だが、一発・二発貰いながらでもいいから逆に急接近してしまえば…?
油断していた炎鷲王、俺のありえない急停止に対応できず。目論見通り俺は炎鷲王の懐に飛び込む事に成功した。これならもう火球攻撃はできまい?
だが炎鷲王は身に纏う炎をさらに強く燃焼させてきた。だが
俺は【暴風鎧】の氷属性版【吹雪鎧】を纏い、それに全魔力を注ぎ込んだ。
炎鷲王の炎の鎧と猛吹雪の鎧がぶつかり合う。そして……
ボス炎鷲の炎と猛吹雪の鎧は打ち消し合い、どちらも消えた。残ったのはただのデカい鷲とそのクビにしがみつく子猫である。(ちょっと間抜けな絵面ではあるかな。)
だが、実は俺は泉の水を口に含みながらタックルを慣行したのだ。吹雪鎧に全魔力を突っ込んでしまったが、直後に
斬!!
俺が持てる魔力を全部注いだ【吹雪刃】を纏った爪撃が炎鷲王のクビを刎ね飛ばす。
頭と胴体に離別れて鷲は墜落していった。
戦いは終わった……。
+ + +
俺は地上に居たストームキャット達のところに降りて行く。
兄弟猫達は俺を歓迎してくれた。
兄弟猫達もかなり火傷を負っていたので、泉の水を飲ませてやった。
母猫は……喜んではいない、反応が薄いな。まぁそれでいい。別に母猫に感謝されたかったわけではないからな。
母猫に恩を返したかったが、それはこちらの一方的な思いであって。勝手にお礼をされても相手にとってはありがた迷惑って事もありえるしな。
ただ、どうも母猫の元気がない。俺が掛けた泉の水ではまだ不十分だったようだ。
考えてみれば、高速ですれ違った時に水をぶっかけただけだ。ちゃんと身体に掛からず無駄にしてしまった部分もあっただろう。
俺は泉の水をもう一度母猫にも飲ませた。収納してあった水を母猫の口の中にいきなり出したので、母猫はビックリしていたが、なんとか飲み干してくれた。
母猫の身体がうっすら光る。
完全回復したようだ。
母猫がカッと目を見開き、ゆっくりと俺のほうを見た。
また威嚇されても悲しいので、俺はすぐに去ろうとしたのだが、後ろから兄弟猫達にジャレつかれて転がされてしまった。兄弟猫達は俺よりかなり体が大きくなっており抵抗できなかった。
まぁ、兄弟達は一貫して俺を兄弟だと認識しているようなのはちょっと嬉しいが。
「な~ん」
その時、母猫が近づいてきて鳴いた。
振り返った瞬間、近寄ってきた母猫に舐められ俺はまた尻もちをつく。
「な~ん」
母猫が俺を見て鳴く。
何を思ってるのか?
何を言いたいのか?
よく分からない。
「な~ん…」
しばらくして、もう一度俺を舐めてから、母猫はゆっくりと背を向け……去っていった。
母猫の後を兄弟達が追っていく。
母猫は二度と振り返らなかったが、兄弟達は一度振り返り、「またな」とでも言うように鳴いた。
ああ…
またな…。
元気でな。
結局、母猫が俺をどう認識していたのかは最後までよく分からなかったな。
自分の子供とは認識していないようだが、敵ではないとも理解した感じか?
微妙な感じの立場だな。
母猫に恩返しはできただろうか? やっぱりただの自己満足でしかなかったか?
まぁよいさ。
俺自身のためでもある。
ケジメをつけたかっただけなのだ。
炎鷲には迷惑だっただろうが、俺としてもトラウマを乗り越えたかった。もう炎鷲は怖くない。
ちょっと疲れたが、気分は悪くない。
聖域の外でもなんとかやれそうだな。
嵐猫達が去っていった方向を見ながら少し感慨にふけっていたのだが……。
ちょっと呆けっとしていたところ、当たりが急に暗くなった。巨大な影が俺の周囲に落ちたのだ。
振り返ると、太陽を背に、巨大な1つ目の巨人がこちらを見ていた。
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