第2話 俺はこのエロゲーが叡智でエロいと知っている

真宮まみや君? どうかした?」


 主塔しゅとうは普通に笑って返事をしてくれた。


「待ちなさい!」


 黒髪ロングで清楚な美少女が俺達の間に割って入る。


「委員長?」

「また主塔くんに難癖ですか!」


 ということは以前にも一悶着ひともんちゃくあったのか。

 本当、以前の俺はなにやってんだよ。


「すまない、委員長。大事な、男の話があるんだ」


 誠実に、それでいて威圧しないように対応する。


「まさか、また魔法決闘!?」


 あ、それは怒るよね。


「違うさ。ただ決して。女子が立ち入っていい話じゃない」

「委員長。僕は大丈夫だから」

「主塔くん……」


 委員長を制して、主塔は俺の方を向く。


「さあ、屋上へ行こうぜ」


 屋上で主塔と向き合う。

 どこにでもいる平凡な少年に見えるが、強い意志が伝わってくる。


「主塔、率直に聞く。好きな子、もしくは気になる子はいるか?」

「え!?」

「皆まで言わなくていいぜ。特徴だけ。口に出すのは恥ずかしいからな。いるか、いないかだけでもいい」


 もし俺が悪役ならば主人公やヒロインに手を出さなければいいだけ。

 まずは本人に好きな相手を聞くのが一番だ。

 主塔は照れを見せながらも、口を開き、


「それは綺麗な長い黒髪、清楚な空気感があって――おっぱいがとてもデカい子」


 曇りなき眼で、堂々と宣言した。


 委員長の清澄澪きよすみみお


 見る目がある。

 さすが叡智の申し子。

 俺の目に狂いはなかった。


「俺もおっぱいがデカい子は大好きだぜ! 勘違いしないで欲しいが、お前が思い描いている子は狙ってない! 恋路を応援するぜ!」

「ありがとう! 僕のことは透也でいいよ!」

「俺のことも燎雅りょうがって呼んでいいぜ!」


 熱い握手を交わす。


「共に叡智の叡智を探求に励もうぜ!」

「叡智の探求の為に!」


 関わる気はなかったが、気が変わってしまった。


 なんとなくかつての親友の面影を感じるから。

 内面的な意味で。

 透也の方が遙かにイケメンだ。


 ◆


 透也とすっかり仲良くなり、切磋琢磨する仲になった。

 莉々亜りりあに聞きづらいことも、嫌な顔をしないで教えてくれる。

 魔法使いは固有魔法を宿し、天啓てんけいと呼ばれる脳内情報で詳細を把握できる。


 透也の固有魔法が【全痴全能オールマイティ】。


 あらゆる属性の魔法が使える天才。

 今は器用貧乏だけど、成長すれば偉大な魔法使いになれるだろう。


 俺の固有魔法は【叡痴の心炎バーニングハート】。


 天啓によれば叡智なことで頑張れる。

 正にエロゲーっぽい。

 ついでにライター並みの火が出せ、操れる。


 強くなりたければ鍛え、叡智を探求し、知るしかないのだ。

 そして俺と透也は別々にパーティーを組み、叡智ダンジョンをのぼり始めた。


 本当はソロで攻略するつもりだったが、見るに見かねた莉々亜が一緒にパーティーを組んでくれた。


「ちょ! 燎雅! 見てないで助けなさいよー!」

「まあ、慌てるな。もう少し待ってからでも」


 スライムに莉々亜の魔法少女装備がゆっくりと溶かされていく。

 なぜかモンスターは女子にだけ叡智な攻撃をしかける。


 男子には無慈悲な攻撃を繰り出すが、二の次にされがちだ。


「いつまで見ている気! この変態スライム!」


 莉々亜の雷魔法はスライムには効き目が薄い。

 ついに生おっぱいが見え隠れし、淡い桃色――火を灯してスライムを燃やす。

 莉々亜の肌を焦がさないように気をつけて。


「礼を言うべきか分からないんだけど」

「既に礼はもらっている。礼はいらないさ」

「はあ、そう」


 莉々亜は呆れながら自分の装備に手を当てる。

 魔力を込めることで装備は修復されていく。


 そもそも叡智ダンジョンに潜るのは、モンスターが落とすエネルギー資源である魔石を確保する狙いもある。


 それを阻むように叡智ダンジョンには、叡智なトラップやモンスターの数々がいる。


「いい眺めだ」

「眺めてないで助けなさいよー!」


 テンクタラープラントのぬるぬる触手に逆さまに吊られ、股下までぬるぬるな莉々亜。

 また服が溶けていき――火を灯して、テンクタラープラントを燃やす。


「よっと」


 莉々亜をキャッチする。

 ぬるぬるでぷるるんだ。

 いい、仕事をする。


「はあ……もう。ワンアクション余計なのよ」

「賢者の残心だ」

「あっ、そう」


 莉々亜が頬をつつき、ちょっとだけピリッとした。


 叡智に触れながら探索を進め、棍棒を持ったゴブリンの集団と遭遇した。

 莉々亜を見て興奮し、下卑げびた笑い声を上げる。


「テメェらは死ね!」


 ゴブリンを大剣でぶった切り、念には念を入れて燃やす。

 ゴブリンは低層階に生息する貧弱なモンスターだが、狡猾で集団では驚異だ。


 この世界がダンジョン系エロゲーだと仮定するなら、バッドエンド――凄惨せいさんな結末を迎えるエンディングも存在するはずだ。


 俺はそんなエンディングは望まない。


 望むのは叡智でエッチに恥ずかしがる女の子達――だから、俺はお兄ちゃんとして莉々亜を護る!


「可愛い妹を護るのはお兄ちゃんの義務だからな」

「さっきまでの自分を見返しなよ」

「それもまたお兄ちゃんのさがだ」

「バカ兄貴」


 莉々亜は相変わらず文句を言うけど、壁は感じなくなってきた。


「燎雅。あれは、助けるべきなのかな」

「もう少し鑑賞……いや、観察しよう」


 ミミックに頭から食べられ、


「はあはあ……どうした、ミミック! 貴様の舌使いはその程度かっ!」


 なめ回されているくっころ女騎士を見守る。

 莉々亜に急かされ、ミミックを火で燃やした。


「ありがとう、助かった。私は一年二組の獣王麗華じゅうおうれいか。名字は堅苦しいので、名前で呼んでくれ」


 ミミックの舌でぬるぬるになった顔で、爽やかに自己紹介をする。

 犬耳に銀髪ポニーテールの獣人女子だ。

 俺達も自己紹介をする。


「なるほど、燎雅殿、莉々亜殿。だが、申し訳ない。今の私に返せる手持ちがない。だから、この身を捧げることで対価としてもらえないだろうか?」


 麗華はぬるぬるになったCカップおっぱいに腕を挟み、尻尾をぶんぶんと振った。


「前向きに検討させていただきます!」

「検討するな!」


 なのでパーティーに入ってもらった。


「うう。そうか、義兄妹……仲良きことはよきことだな。ちなみに私は土魔法が得意だ」


 涙もろいけど、またミミックに捕まって尻で喋ってる。


「だから燎雅! 見てないで助けなさいよー!」


 同じく莉々亜も尻で語る。

 二人ともいいお尻に、素晴らしいおみ足で感謝。

 新たな仲間が増え、新しい叡智なイベントも増え、上の階へと進んでいく。


「ああ……これも大エルフ神様による試練なのですね」


 ぬるぬる床トラップにはりつけにされた水着姿のエルフ女子が、またもぬるぬるになっていた。

 亜麻色のゆるふわヘアーまでぬるぬるだ。


 ぬるぬる系エロゲーか?


「こんなぬるぬる沼にうら若き男の子が。ふふふ、私に黒い欲望をぶつけるのですね」

「これは助けるべきなの?」


 莉々亜がさげすんだ目でエルフを見つめていた。


「私は二年一組、江口翠えぐちみどりです。先輩ですが、翠と呼び捨てにしてください。しかし、申し訳ございません。水着装備なので、命の見返りになる物がなく」


 助けた翠が長い耳を赤らめ、Eカップおっぱいから水着を外し、頼りなさすぎる手ブラで隠す。


「こんな物でよければ」

「前向きに検討させていただきます!」

「検討するな!」


 なのでパーティーに入ってもらった。


「あ。風と回復魔法が得意です。皆さん、風を肌で感じたくありませんか? 水着装備はいいですよ」


 翠は露出系痴女エルフだった。


 四人パーティーを結成し、日々ダンジョン攻略を進め、時に三人とぬるぬるしながら、


「オークは死ね!」


 害悪モンスターは即殲滅していく。


 そして、ようやく五階に到達する。

 叡智ダンジョンは五階層毎にボスモンスターが存在し、六階へ続く広間に先着がいた。


 既に透也とおやみおが交戦中で――ボロボロだ。

 巨大な黒騎士が両手の斧を振るい、暴れ狂っている。


 叡智なシーンなんてありませんよ、と思わせる強ボスに頭が切り替わる。


「透也! 澪!」


 斧を弾き、もう一つを麗華が受け止めてくれる。

 その間に翠が二人を回復してくれる。


「吹き飛べ、デカ鎧!」


 莉々亜が特大の雷撃を放ち――まだ、倒れない。

 俺達を弾き飛ばして、逆に怒りを買った莉々亜に狙いを定めた。


「莉々亜!」


 すぐに起き上がり、動けないでいる莉々亜をかばい、攻撃を受け止める。

 瞬間、大量の水が黒騎士を押し流し、無属性の浄化魔法が発動した。


「待たせた、援護する!」


 回復した透也と澪の魔法を受け、一気に攻勢に転じる。

 俺達の愛する叡智が爆発し、黒騎士を討ち倒す。


「みんなの勝利だー!」


 全員無事に生き残り、勝ちどきを上げ、


「よっしゃ、ぐか」

「剥ごう」


 俺と透也は黒騎士の鎧を剥いでいく。

 素材は山分けだ。


「激戦だったのに男子は元気ね……」

「当たり前だろ。叡智な精力がなきゃやっていけないぜ」


 莉々亜の頭を撫でる。


「う、うん……」


 山分けを終え、アイテムボックスからおもちゃみたいな無線機を取り出す。


「そうだ、透也。途中で見つけたんだ。ダンジョン無線通信機」

「ありがとう、燎雅。助かるよ」

「お互いに叡智なタイムは楽しみしたいから、別行動だけど。今回みたいにヤバい時は呼んでくれよな!」

「分かったよ! お互いに叡智なタイムを!」


 熱い叡智の握手を交わす。


「透也くん……」

「バカ兄貴……」

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