第28話 罰ゲーム開始

## 第28話 罰ゲーム開始


りおが、何かを手に持って戻ってきた。


私は、その姿をまともに見ることができなかった。


目を逸らす。


床を見つめる。


でも、りおの足音が近づいてくる。


止まらない。


「のぞみちゃん」


優しい声。


でも、怖い。


「見て」


「見たく…ないです…」


「でも、見なきゃ」


りおが、私の顎を持ち上げる。


無理やり、顔を上げさせられる。


そこには。


---


私は深呼吸をした。


落ち着け。


考えろ。


何か方法はないのか。


受け入れるしかないのか。


それとも。


「のぞみちゃん、逃げられないよ」


りおが、にっこりと笑う。


「これが、罰ゲームだから」


罰ゲーム。


間違えた罰。


逃げようとした罰。


でも。


「りおさん、お願いです…」


私は、必死に頼んだ。


「これだけは…」


「ダメ」


りおは、即答した。


「罰ゲームは、罰ゲーム」


「でも…」


「大丈夫。痛くないって、約束したでしょ?」


痛くない。


でも、それだけじゃない。


心が、痛い。


「それに」


りおが、私の耳元で囁く。


「これも、女の子の経験だよ」


女の子の経験。


そんなもの、いらない。


「さあ」


りおが、私の手を取る。


「始めよう」


私には、もう逃げ場がなかった。


りおの言葉に従うしか。


この罰ゲームを受け入れるしか。


選択肢は、なかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る