無情の鵺

霜月神舞

さがしもの

 生まれたときから、私は泣かなかったらしい。


 そう聞かされても、だから何だとも思わなかった。

 泣かない理由が分からないし、泣く理由も分からない。


 感情がない。

 それが欠落なのか、ただの性質なのかも判断がつかない。


 強い力を持っていた、代償なのだろうか。


 ただ一つ分かっているのは、

 周囲が笑う場面では、同じように口角を上げれば問題は起きないということだけだ。


 感情。


 いつか、たくさんのひとと関わっていれば見つかるものなのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る