楽曲イメージ作品

で、お茶

白が口を噤ませる

煌びやかな白が空から舞い落ちている。


既に積もったところへ、それは白色のまま落ちる。

僕が歩いているこの道は黒く、その白色は瞬く間に消えてしまう。


周りは真っ白な世界。周りだけは。


黒い道には僕ともう一人。

白い息を吐きながら僕の隣を歩いている。

僕も少し息を吐いてみた。


ぎこちなく息を吸った時、隣から声が聞こえた。


「ところどころ凍ってるから滑っちゃいそうだなー。雪で凍ってるか見えなくなってるとこもあるし。罠だぁー」


そう言って、道に残った雪を踏んだ。

雪が黒に吸い込まれていく。

僕はもう一度息を吸う。


「気をつけなよ? 助けないからね」

「えぇー。濡れるなら二人で、でしょ」


赤く染まった頬をゆるませ、君が笑った。

雪がまた、積もっていく。


雪が積もるほどに空気は冷たくなり、口が思うように動かない。


ほら、また積もっていくばかりだ。


僕は春に行けない。




イメージ楽曲

櫻坂46「TOKYO SNOW」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る