君が望む永遠と僕が望む有限
ある日、一組の男女が公園を歩いていた。
春の風が吹き、桜が散る中二人とも目を合わせず会話をしている。
手はしっかりと握りこまれ、女性の手は少し赤らんですらいた。
男は上ずった声で常に話しかけ目線は天を仰ぐ、胸元に入れてある小箱には自分の汗がにじもうかという勢いだ。
突然女性の方へしっかりと向き直り両手を握ると小箱を取り出し女性へと差し出す。
「僕と、結婚してください」
女性はそれを聞き目を見開いたが、すぐに頬を赤らめ瞳が潤み始める。
視線が右往左往しつつ、女性は口に手を当てる。返答を悩んでいるわけではない。しかし、言葉が口から出てこなかった。
(ああ、私は幸せ者だわ…。こんな素敵な方にプロポーズしてもらえるなんて、今この時が永遠であればいいのに…。)
男性はその様子を見つつ、女性の顔を見ていたがだんだんどこを見ればいいかわからなくなってくる。
視線を落とそうとするも体を見てしまっては失礼だと思い後ろの桜を見るも今度はしっかり女性を見つめねばまた失礼だと考える。
(ああ、早く返事をください…。今にも心臓がはじけ飛んでしまいそうなのです。受けていただくにも断るにもとにかく!早く終わってくれぇ!)
女性としては一瞬、男性としては云十時間にも感じた時間が終わった時、男性は気絶してしまったという。
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