第6話 ジュリエット公爵令嬢視点

 はぁ……、家を出たものの、行く当ての無い旅というのはどうも疲れますね。姿を見られるわけにはいかないので、ローブを目深に被って顔を隠す毎日。ザックは毎日楽しそうですが……。


「お嬢様、酒場で良い情報を仕入れてきました」

「なんでしょうか」


 私たちがいるのは安い宿屋。金目の物は全部言い値で売り払ってきたので、お金は持ってますが倹約しないとあっという間にお金が無くなるというのです。


「この先に奇跡の村と呼ばれている村があります。きっと本物の聖女がいるのでしょう」

「奇跡の村……?どんな奇跡が起こったのですか?」

「大凶作が大豊作に変わったらしいですよ。俺も詳しくは知りませんが……」


 何ですって?それは聖女の奇跡の一つの「緑の手」ではないでしょうか?そこに本物の聖女がいれば、私の逃亡生活も終えることができる……!


「明日、その村に向かいましょう!きっと何か手掛かりがあることでしょう!」

「へへっ、お嬢様。元気になりましたね。よかった」


 次の日、私とザックは奇跡の村というところに来ました。


「何も無い村ですね……」

「そうですね……、とりあえず大豊作なのを見ましょうか」

「ええ……」


 私たちがしばらく道なりに歩くと、黄金色の景色が目に入ってきました。


「すごい……、大豊作ですね」

「刈り取りは始まってますけど、これ一面の黄金色ですよ。なんか一つの穂にぎっしり小麦が生ってますね。こんなのは見たことありません。これが聖女の奇跡……」

「ええ、まちがいありませんね。ところで今日の宿はどうしましょう……」

「俺が農家に交渉してきます。ちょっと待っててくださいね」


 ザックは行ってしまいました。農家に泊まるのですか……。大丈夫でしょうか?

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