第3話 本気で言ってるの?

「それ、本気で言ってるの?」


 少女は疑問を浮かべながら、冷たい眼差しと口調で喋った。


「だって、この街が嫌なら別の街や場所に行けばいいじゃん!」


 少年は少女の殺気と冷徹な雰囲気などまったく気にせず、まっすぐ純粋な心で話しかけた


「他のところに言っても同じことがおこらないとは言えないじゃない。あと、私は殺し屋なのよ!」


 殺し屋ということに、冗談という意図は一切感じなかった。


「大丈夫だよ!きっと大丈夫だし、俺がいるから!」


「どこからその自信が出てくるのよ……」


 少女の反論は無根拠のトルテの言葉に跳ね返され、少女は呆れて喋った。

 でも、少女は不思議とどこか大丈夫だと、安心感を覚えた。


「お願い!お願いー!!」

 

 トルテは両手をぐーにしながら少しずつ駆け寄り、少女は恐る恐る後ろに一歩下がる

 今まで人に優しくされたことなんて、まったくなかった少女は、そのキラキラした澄んだ心を映し出したような瞳をみて、すごく嬉しく感動した。


「あーもう!仕方がないわね!行けばいいんでしょ!」


「ほんと!やったー!!」

 

 ついに少女はトルテの強い押しに耐えきれず、白旗を上げた。


「はぁ……そういえば名前を聞いてなかったわね」


 ため息を大きくつきながら、お互いの自己紹介がまだだったことに気づく。


「私はセリナ、あなたは?」


「俺はトルテ!よろしくね!」


 今度は2人とも穏やかな笑顔で、お互いに名前を打ち明け、歩み寄り握手を交わした。


「これで友達だね!やっと笑ってくれた!」


「友達……まあいいわ」


 今まで一人もなったことがなく、相手から聞いたことがなかった友達という単語を目の前でまったく疑う余地なく言われ、セリナは少し照れて目をそらしながら喜ばしく思った。

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