ふれんず!

だいこん

第1話 冒険に出よう!

「よし!決めた!今日は旅にでよう!」


 元気で明るそうな声が小さな家の中に響いた。

 今日は天気もよく、風も穏やかだ。


「とうとう決めたのね。旅に出たいとずっと言ってたわよね。今から荷造りをするからちょっと待ってなさい」


「ありがとう!」


 少年はお母さんからの声かけにはっきり大きく答えた。


「今日は天気もよいし、行くには絶好の機会よね。だから行くことに決めたの?」


「ううん。なんとなくだよ!」


「ふふふ。トルテらしいわね」


 母親は荷造りの準備をしながら、少年らしい気が抜ける答えに笑って答えた。

 緑の優しい色の髪に、黒いキャップを被りよくある黒い革ジャンを着ているこの少年、

 トルテは昔から、同じ年の子供が村にいなく、友達を作るため旅に出るのが夢だった。


 数十分後……

 

「よし出来たわよ。食料も入れたからちゃんと水も飲んでご飯も食べて、雨に濡れたら替えの服を着るのよ。あと知らない人にはついて行っちゃだめだからね!」


「う、うん!」


 トルテは玄関に向かいながら、お母さん特有の心配性な長い声かけにタジタジになりながら、頬に汗をかき相槌を打った。


 鍵を外し、トルテはわくわくしながら、扉をぐっと強く押した。


「じゃあ行ってきます!友達に会いにいくね!」


「いってらっしゃい!いい友達、見つけるのよ!」

 

 トルテは玄関で靴のかかとをならし履きおえ、お母さんに最後に挨拶をした。

 お母さんもトルテの威勢のいい声に、跳ね返すように大きく返事を返した。


 トルテは前を向き、親から離れる寂しい気持ちをぐっと抑え、わくわくする気持ちに身を任せながら、

 真っすぐ次の街の方へ駆けていった。


https://kakuyomu.jp/users/daikonz/news/822139842155416059



「本当は心配だし、さみしいけど好きなことやらせてあげたいものね」


 お母さんは静かに扉を閉めながら、ポツリとつぶやき静かに息子の成長を実感した。

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