いたちごっこの光と影

森本 晃次

第1話 プロローグ

この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、説定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和6年9月時点のものです。お話の中には、事実に基づいた事件について書いていることもあれば、政治的意見も述べていますが、どちらも、「皆さんの代弁」というつもりで書いております。今回の事件も、「どこかで聞いたような」ということを思われるかも知れませんが、あくまでもフィクションだということをご了承ください。政治関係は、舞台は日本ということになっていますが、あくまでも、架空の政治体制だとご了承ください。


 昭和の頃に、

「暴力団などの組織による構成員からの不当な仕打ち」

 というのは、結構あった。

 もちろん、今まったくなくなったというわけではないが、平成に入ると、

「暴力団対策法」

 などという法律ができたことで、表面上は、

「組織的な行為」

 というものができなくなったと言われている。

 だから、その法律が功を奏して、

「表向きは、組という存在は、相当に減ってきている」

 といってもいいだろう。

 実際に、

「やっていけなくなって、潰れていった組」

 というのは、かなりあっただろう。

 しかも、そんな

「暴力団対策法」

 などというものができてきたのに、

「今さら、新しい組織を作る」

 ということもない。

 減っていった中には、一般企業のように、

「合併」

 という形で、組を存続させるということもあったかも知れない。

 詳しくは分からないが、昔の、

「任侠」

 という時代であれば、いくら

「組の存続」

 ということを考えたとしても、

「決して、考えの違うところと一緒になろうとは思わない」

 ということになるのではないだろうか?

「そんなことをするくらいなら、解散した方がまし」

 ということで、それこそが任侠というものではないだろうか。

 そこに関しては、

「政治家に、爪の垢でも飲ませたい」

 というものだ。

 政党というのは、

「政府与党」

 と

「野党」

 に別れている。

 昭和の頃まではほとんどが、

「一党独裁」

 ということであったが。平成以降、特に、ここ三十年近くは、

「連立政権」

 などというもので、成り立っている。

 それだけ、

「与党第一党」

 と呼ばれる政党が、弱くなったということであろう。

 それは、

「自業自得」

 というもので、確かに、他の野党がどんなに逆立ちしても、敵う相手ではなかったということで、

「野党はしょせん、野党」

 ということであった。

 確かに、

「野党第一党」

 というものが、今の野党に比べて、ダントツで力を持っていたが、

「あの野党に政権を任せることは、亡国につながる」

 ということで、

「決して、野党を政権にさせることはなかった」

 そのため、

「少々汚職が続いたり、問題が多かった」

 といっても、

「野党第一党に政権を行かなくさせる」

 という理由で、

「仕方なく、政府与党というものが、一党独裁という時代になっていた」

 というのが、正直なところだろう。

 しかし、そのうちに、

「世界情勢の変化」

 ということに伴って、日本でも、野党第一党が、

「分裂してしまう」

 ということになった。

 分裂したことで、野党の力は分散され、さらに、与党が

「一党独裁」

 というのがうまくいくということの前兆と思えたが、

「政府の方で、足元を掬われる」

 というような事件が発生し。

「単独では政権を維持できない」

 ということから、

「野党の中でも、こともあろうに宗教団体が母体という政党の組織票がほしい」

 ということで、連立政権となったのだ。

 組織票というのは、

「投票率が低い場合ほど、効果を発揮する」

 というもので、

「帳票する党は決まっていて、しかも、絶対に投票にいく」

 というわけでなので、投票率が低いということは、それだけ、分子も分母も数が少ないということになる。

 しかし、

「決まった政党に投票するのだから、絶対数が少ない有効票に一定の数が足されるのだから、当然、有利だということだ。

 普通の票であれば、分母が小さいのだから、当然分子も小さいということで、その政党に有利に働くわけで、

「政権を握る」

 ということで、

「過半数ギリギリ」

 ということであれば、その組織票というのが、大きな役目を果たすということになるわけである。

 そんな政党というものを考えた時、そもそも、

「一党だけでは過半数が取れなくなった」

 ということが問題である。

「いくら政府与党といっても、国会審議で決議されることを、最初から一党独裁ということであれば、法律の立案の時点で、成立は決まっている」

 といってもいいだろう。

 しかし、それが、連立であれば、与党第2党の意見も、しっかりと取り入れなければいけないであろう。

「本来は完璧にしたいと思っていることも、横やりが入ることで、せっかくの法律が、中途半端になってしまう」

 と考えられる。

 しかし、それは、

「与党第一党の考え方」

 というもので、

「本当に与党第一党が決めた法律が正しい」

 と言い切れるのだろうか?

 曖昧な中においても、ちゃんと審議を行い、最終的な決を採るというのが、本来の国会の役割というもの。

 そして、それが、

「法治国家だ」

 といえるだろう。

 そういう意味で、

「国民のためになる法律を作る国会」

 というのは、大切であり、それが、

「衆議院」」

 であったり、

「参議院」

 の得票数により、選挙で選ばれた

「国会議員」

 ということになるのだ。

 実際に、海外に対しての、

「国家元首」

 という立場を有する人として、

「内閣総理大臣」

 という立場があるが、これは、

「国会審議によって、国会議員の中から選挙でえらばれる」

 というものである。

 実際に今の、

「内閣総理大臣」

 というのは腐り切っていて、

「ソーリ」

 といってもいいくらいのものだ。

 それでも、どうして辞めさせないのか?」

 というと、昭和の頃のように、

「あの政党を与党にすれば、国は亡びる」

 と事情に変わってはいないのだが、実際には、

「その野党第一党自体が、今は腐り切っていて、そもそも、そんな力などまったくない」

 といってもいい。

 そうなると、結局は、

「今のソーリが変わっても、誰がソーリになるというのだ?」

 ということで、

「誰もやれる人がいない」

 ということであれば、

「とりあえず、今のソーリにやらせておくか?」

 ということだ。

 それこそ、他の人がソーリになったら、

「国家はどうなるか分からない」

 という不安定な状態で、トップを変えるのは忍びないということになるだけだ。

 投票で入れたとしても、それが、

「国民の信任を受けた」

 などというと真っ赤な嘘であり、

「ただ、他に思い浮かばない」

 というだけのことである。

 つまりは、

「消去法によるソーリ選出」

 というだけのことである。

 だから、こんなに野党がクズなので、本来であれば、ダントツで、一党独裁が築けるものを、過半数ギリギリということから、

「組織票を持った政党」

 と味方につけることで、

「やっと政権与党」

 ということになる。

 とはいえ、連立とはいえ、絶大な力と数というものを持っているのだから、あくまでも、連立の片方は、

「選挙の時だけに必要なだけ」

 ということで、

「国政に関しては、 向こうが得意とするところだけさせておけば、それでいい」

 ということである。

 相手も、

「政権与党として、一党だけでは、とても与党になれないところを、連立として声を掛けてくれた」

 ということで、

「第一党には頭が上がらない」

 として。政策で争うことは極力しないと考えているだろう。

 ただ、あまりにも、すべてに賛成してしまっては、

「腰ぎんちゃくだ」

 あるいは、

「票のためだけのお飾り与党だ」

 といわれるばかりなので、

「時々、反対意見を述べる」

 という程度にしているといってもいいだろう。

 今の日本という国は、そういう政党で回っているということだ。

 本来なら、

「政府のやることに、異議を唱えるという形で、審議を行うはずの野党が、ただ、批判したり、相手の弱みばかりに漬け込もう」

 という、あからさまなことをやっていると、当然国民の誰が信任しようというのか?

 だからこそ、

「野党にさせると、政治は先ゆかなくなる」

 ということで、

「結局、他には誰もいない」

 というところに帰ってくるという、

「堂々巡りを繰り返す」

 ということになるのだ。

 ただ、今の時代は、平成になった頃から、昭和時代の伝統的な犯罪だけではなく、新たな犯罪や、社会情勢の変化というものが起こってきて、そのために、

 特に、

「ストーカー問題」

 であったり。

「サイバーテロ」

 などの問題。

「そして、交通事故関係などの道交法」

 なども、苛烈になってきたことで、

「刑法改正」

 であったり、

「特別法」

 ということで、スピード重視で作られた法律もあるというものだ。

 そういう意味で、前述の

「暴力団対策法」

 であったり、数年前に起こった

「世界的なパンデミック」

 というものを予知してのことであったが、

「緊急事態宣言」

 などという、昔でいう、

「戒厳令」

 のようなものが制定されるということになったのだ。

 それらの特別法や、法改正というものは、

「一定の効果を挙げている」

 といってもいいだろう。

 政府の良し悪しは別にして、国会は国会としての力を発揮しているということだからであろう。

 だから、今の時代には、

「暴力団」

 というものが、なかなか幅を利かしているわけではない。

 実際に、

「警察内部にも、それら暴力団対策に特化した部署」

 というものもあり、日夜目を光らせているということであろう。

 ただ、少なくはなったが、逆に残っている組織というのは、

「それら法律の制限を潜り抜けてきた猛者」

 ということになるだろう。

 そういう意味で、

「却って、組織に関わることは恐ろしい」

 といえるかも知れない。

 何か、国家に対しての反逆などの計画が練られたとして、その信憑性には確かなものがあるだろうことから、警察も、

「本当に真剣に、命を懸けての対応」

 ということになるに違いない。

 それを考えると、

「暴力団は、さらに、奥深くに潜って、決して警察に見つからないように、いろいろ画策しているかも知れない」

 という恐怖もある。

 さらに、頭脳集団というものによって形成されるということであれば、何かの企業や団体を隠れ蓑にしていれば、

「警察の頭脳と、果たしてどちらが上か?」

 ということになり、

「いたちごっこを繰り返す」

 ということになるかも知れない。

 それが、まるで今の、

「サイバー犯罪」

 というものにおける、

「ウイルス」

 などと同じなのかも知れない。

「攻撃する側は、新しいウイルスを新しい形で開発し、それをバラまく、警察はそれを解析し、駆除ソフトを作り対応する。その間に、空いてはさらに強力なウイルスを作り攻撃してくる。警察はまた同じように機序ソフトを作る」

 ということで、それこそ、堂々巡りということだ。

「何かに似ている」

 ということで、まるで、

「東西冷戦時代」

 における、

「核の開発競争」

 というものだといえるだろう。

 しかし、これは、サイバー攻撃とは明らかに違うのだが、それは、絶えず、攻撃される側が決まっているということだ。

 つまりは、

「警察が、相手に対して先制攻撃を掛ける法律的なすべがない」

 ということであり、さらには、

「相手を攻撃しようとしても、どんなウイルスを相手が作ってくるのかが分からない」

 ということになるのだ。

 昭和の頃の特撮で、

「悪の秘密結社」

 というのが、世界征服をたくらんでいて、その拠点として、いろいろなところに、秘密基地を持っていて、そこで、世界征服のために、兵器を開発しているということなので、

「正義のヒーロー」

 が、まずは、相手の秘密基地を見つけ出し、先制攻撃を加えて、秘密基地を破壊するという話があった。

 そもそも、

「日本という国が、憲法で専守防衛に限られているということで、先制攻撃は違憲ということになる」

 ということである。

 だから、その特撮番組は、

「日本国ができない」

 ということを、ヒーローが正義の名のもとに、行ってくれるという、

「スカッとした番組だ」

 といってもいいだろう。

 しかし、逆にいえば、

「そんな先制攻撃ができない」

 という憲法に対しての、

「無言の抗議」

 ということで製作された番組なのかも知れない。

 昔のように、

「特高警察」

 というものがあり、

「治安維持法」

 というもので守られているのであれば、いくらでも、報道管制を敷くことができるだろうが、今の時代は、民主主義ということで、

「表現の自由」

「言論の自由」

 というものが認められている。

「よほどの国家反逆」

 ということで、スパイ行為をしているということでもなければ、

「番組を制作した」

 という程度では、どうすることもできないということである。

 そもそも、今の世の中には、テレビ番組などあふれかえっているのだから、それを一つ一つ調べ上げて、排除させるなどというのは、

「不可能に近い」

 といえるのではないだろうか?

 それを考えると、

「民主主義」

 というのは、いいのか悪いのか、実に曖昧な感じを思わせるのであった。


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