第2話 ハクナマタタ
知らない黒人の放った言葉を受け、ただただ放心する。
なんで?
急に知らない黒人に、キスを迫られた。訳がわからない。この状況があまりにも非現実すぎる。この現実を受け入れることができず、呆然とすることしかできない。
この訳のわからない女の前で黙って立ち尽くしていると女が迫り、キスをしてきた。
!!!!!
こいつキスしてきやがった。なんの躊躇いもなく!怒りやら混乱やらでぐちゃぐちゃになった頭をさらに掻き回すように女は舌を入れてきた。
!!!!!!!!!!
女の舌遣いは上手く私の口内を満遍なく舐めしゃぶってくる。女のつけた強い香水の匂いが体に入りまともに動かない頭がフワフワしてくる。思考がまとまらず時間感覚すら無くなってくる。一瞬であろうキスが永遠に感じられる。
永遠とも思えるキスは一分ほどで終わった。おそらく息が続かなかったのだろう。
この女にいってやりたいことが沢山ある。キスをした理由は?私に?同意していないのに?そんな大量を疑問を捌ききれずたった一言だけ掠れるような声が出た。
「なんで?」
女が答える
「寂しそうだったから」
全く訳がわからない。
情報を、整理しきれず混乱しているところに女は言葉を続ける。
「私たちの国では落ち込んだ人にはディープキスをするのが習慣なの精神的な負担を軽減するには肉体的な接触が1番良いから。嫌だったら断ってくれてもよかったけど貴方待ってくれたから思いっきりキスしちゃった。日本では当たり前じゃないかもしれないけど私たちの国ではこれは当たり前だから」
女が流暢な日本語でのたまいだした。意味はよくわからなかったが、彼女なりに私を励まそうとしての行動だったらしい。だからって許せる訳がない、だけど久しぶりに人の優しさに触れなんだか温かい気持ちになったがそれはそれとしてめちゃくちゃむかつく、感情がわけわからなくなってボロボロと涙になって溢れ出した。
全く訳がわからない。
なんの涙だ。
涙を流している私に女が話しかけてきた。
「辛かったのね。」
お前がゆうな。そんな言葉も涙のせいで言葉にできない。女はまだ話し続ける。
「私でよかったら話を聞こうか?」
この女なりに本当に私のことを心配してるみたいだ。だけどこれ以上世間の往来で恥を晒したくはない。
「場所を変えて良いなら」
「わかったわ落ち着ける場所に行きましょう」
優しい口調で話しかけられて少し安心して心を許し、女のいう落ち着ける場所について行った。
女は個室を連れてきてくれた。綺麗な装飾に綺麗なベッド、そしてやけにピンクな内装。
ラブホテルだ。
なんで?
ついてきた私も訳がわからないけどそれ以上になんで私をラブホテルに、連れてきたんだと女に聞いた。
「キスをした後はセッ○スをするのが私の国では当たり前なの。ほら辛いこともヤッたら忘れられるでしょだから私の国ではヤるのよ。わかる辛いことがあったらヤるのは当たり前なの。あなたすごく可愛いし、キスしてくれたし良いじゃん。私の国では当たり前だし。」
女は凄い勢いで捲し立ててくる、正直何を言っているかわからないが一言だけやけに頭に残った。あなたすごく可愛い。
初めて言われた。容姿のことを他人に褒められた。それだけでこんなに嬉しいとは思わなかった。目の前にいる女がいきなりキスをしてくるブスな黒人女性だとしてもめちゃくちゃ嬉しい。
気分が高揚した。体を許して良いと思える程に
「良いですよ。ヤりましょう」
「really?」
なぜか英語で問い返してきた。おそらく女はアメリカ人だ。
「キスもされたし、なんだかんだもう馬鹿馬鹿しかなってきました。」
「OK!!!」
女は興奮しているようだ。
「じゃあ、シャワー浴びてきますか、、うわぁっっっ⁉︎」
女が急に襲ってきた。
「ohyeah let’s coming‼︎」
女は荒々しく、私の身体を求めてきた。しかし、荒々しさななかにも優しさがあり少し嬉しかった。その行為がコミュニケーション一環だと認識できるレベルには丁寧だった。天井を眺めているだけで一連の行為は終わった。
「あなた何か辛いことがあったの?」
行為が終わった後に聞いてきた。こういうのは行為の前に聞くのが普通だろとは思ったが、自分の家族のことを話した。そしたら女が立ち上がり言い放った。
「そいつら許せないわ。私がそいつらに説教してあげる。」
凄いことを言い出した。また訳わからないことを言い出し私はミーヤキャットみたいに立ち尽くすしか無かった。だけどこの常識のない。常識の通じない女ならなんとかしてくれるかもと思った。
「お願い。なんとかして。」
イボ猪みたいなか顔で、私の方を向き
「心配しないで」
私は
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