第3話 モブ、金策を考える

 転生から1年、やっと6歳となった俺はアランから条件付きだが魔物狩りの許可が降りた。なのでついにレベル上げを行えるようになったのだ!


 1年という時間は長かったが、努力の結果だいぶ成長をとげることができた。1番成長したのは魔素で辛い思いをした成果が実った形だ。


 魔物狩りの許可といっても、当然浅瀬まででEランクの冒険者が狩り場にするような場所である。当然今の俺ではラビット系等の弱い魔物しか相手にできず、ゴブリンなどまだまだ早い。


 魔物狩りに行くための条件はクライ兄ちゃんが引率してくれることだ。クライ兄ちゃんはよくできた兄なので自分の訓練も忙しい中、週2回の引率をしてくれている。


 俺のレベルはようやく6といった所だが、クライ兄ちゃんのレベルは25もある。レベル25というと、冒険者でいうDランク辺りのレベルだ。冒険者の平均ランクはD〜Cなので10歳にしてそこにたどり着く才能は驚愕の一言である。


 オーステック大森林の浅瀬に入れるようになった俺は現在2つの短期目標を掲げている。


 1つ目は言わずもがなのレベル上げである。とりあえずの目標はレベル20、これはなんとか後2年で達成したい。

 達成したい理由は後2年でパーフェクトブラザーのクライ兄ちゃんが学園に入学してしまうので俺1人でどうにかしないといけなくなるのだ。そのため、俺1人である程度の安全マージンを取りながら動き回れるレベル20を目指している。

 

 2つ目はこれからの金策である。これは俺の立場が微妙な所に起因する。


 上級貴族であれば次男であっても貴族入りできる可能性はあるが、うちのような下級貴族の次男の就職先に伝手などないので今からでも就職活動をしておく必要がある。


 ましてや俺の短期目標の終着地点である、自領を持つとなると領地貴族の令嬢の玉の輿に乗る位しか方法がないのである。

 領地貴族になるなら、ウルトラCで未開拓地の開拓による新しい町を興すという方法もある。

 実際にうちの父であるアランはAランク冒険者だったがこの人口100名位のオーステックの町を開拓し、男爵となったのだ。


 俺も領地貴族となるならこのウルトラCを目指さなければならない。そうなってくると必要な物が出てくる。それは人、物、金である。


 現在俺は食料自給のために土魔法を使い、農業も行っている。だが町を作るとなると農家や土地柄、戦闘職の人材等が最低でも必要となるが、伝手のない俺では人材を揃えるのは容易ではない。

 それを解決できるのが奴隷という存在だが、信頼関係もなく未開拓地に連れていけば、そっぽを向かれ詰むのが目に見えている。そのため幹部候補生を安全地帯にいるうちに育てる必要がある。


 そうなってくるとやはり裏切ることのない若い奴隷を買い、信頼関係を育み、能力を育てることで解決をしたい。その為には奴隷を買う費用と奴隷を生活させていくための費用がいる。

 その資金準備を今のうちから始めているのである。


 まず行っているのはオーステック大森林の浅瀬でも手に入るレア素材集めである。浅瀬で高く売れる素材が取れる場所は1つしかない。子供でも時間があればお宝を見つけれるかもしれない場所、そう河原である。


 オーステック大森林の中心の休眠火山の雪解け水が流れ出し、自然や魔物、人の暮らしを支えてくれている川。オーステック大森林の浅瀬エリアにも当然川は流れている。その中でもちょうど上流から流れてきた石が溜まってできた河原のエリアが目的の場所だ。ここには珍しい石や、オーステック山で作られた宝石等が稀に流れ着く場所という設定でゲームではお世話になった場所である。


 レベル上げも兼ねてオーステック大森林には潜っているので、1刻という時間を区切って採取をしている。


 最初はクライ兄ちゃんは子供の石探しと思っていたようだが、俺が宝石等を見つけているのを見ていた。


 俺が一生懸命探していたのを温かく見守っていたクライ兄ちゃんだったが、退屈になったのかクライ兄ちゃんも警戒しながら探し始めた。


 そして少しした時に、「タイセイ、こんな石を探せばいいのか?」


 そう言って俺に見せた物は、大人の拳程もある澄みきったダイヤの原石だった。

 

 だが小粒のサファイアを見つけて喜んでいた自分が恥ずかしい。やはり人生主人公のクライには勝てないのか、、、。


 しかし、「この石を探してたんだよね、あげるよ。」


「兄ちゃん、この石は石だけど高いんだよ。だから貰えないよ。」


 石というか岩サイズのダイヤの原石を見た俺は軽く引いた。ありがとうお兄ちゃんと言いたかったが、さすが億に近い価値のある宝石をこんな優しい兄からはむしり取れない。これが他人ならしれっと貰うんだが。俺は血の涙を流しながら断腸の思いで断った。


「タイセイ、この石はどんなに価値があろうと僕にとってはただの石なんだ。だけどタイセイにとっては違うんだよね。それなら価値を知る人が持っておいたほうがいいよね。だからタイセイに貰ってほしい。」


 俺は兄の優しさに触れ、欲しい物を手に入れた俺は兄を神として崇めることにした。


 この出来事により、俺は兄を羨ましがることを辞め、崇拝対象となり、俺はクライの弟であることを誇りに思うことにした。


 


 そんなこともありながら、宝石採取をすること半年、溜まった宝石を売って、元手を作りたいと思うようになっていた。


 町にはちゃんとした商店はなく、3ヶ月に1度商隊が日用品を持ってやってきて、魔物の素材と交換していく。


 俺の知識では対等な取引だとは思えず、父のアランに聞いてみたら、わざわざこんな田舎に命がけで来てくれる手間賃みたいなものだと言われ、それ以上何も言えなかった。


 それだけこの世界の治安は悪く、辺境へ来てくれる商隊というのは稀なのである。


 だが手間賃だと言われ、採取した宝石を安く買い叩かれるのは面白くないので、どうにかして利益を最大化させる方法を考えた末、思いついたの自分で売りに行けばいいという簡単なことだった。


 ただ問題なのは街へ行く許可が降りるかということだ。この世界、魔物もいれば盗賊もいるデンジャラスな世界である。


 さらにこのオーステックの町から近くの街のアザリアまで歩きで3週間、馬車で2週間かかる。


 なので街へとよく行く町人ですら1年に2回しかアザリアへとは赴かない。そんな旅に6歳児の俺に普通なら許可は降りないだろう。だから俺はどうにかアランを説得する方法を考えることにした。

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