第21話 【極秘】マジックレコーダー保管棚
【物件番号: 】音録石(マジックレコーダー)の記録
回収場所: ギルド地下金庫
回収日: 王暦125年 月 日
以下は、ミレット調査員と遺留品リストを守る衛兵の会話の音録石の書き起こしである。リスト保管棚前に設置された監視用音録石のものである。
衛兵:
「おや、ミレットじゃないか。どうした、こんな奥の棚に用とは珍しい」
(衛兵は親しげに話しかけるが、顔はこわばっている。槍を持つ手が微かに震えている)
ミレット:
「久しぶり。早速、本題なんだけど。48年前のリストが見たいわ」
(衛兵、一瞬、考え込むも首を横に振る)
衛兵:
「ミレットの頼みでも、それはできない。『10年以上前のリストを見るには、ギルド長の許可が必須である』。これを忘れるほど間抜けじゃないだろ?」
ミレット:
「やっぱりダメかぁ。じゃあ、これはどう? つまり、9年前の記録を見たい。これならルールの範囲内でしょ?」
衛兵:
「うーん、確かに。それなら長の許可がなくてもいいか。よし、通れ」
(衛兵、リスト保管棚への道を開ける。ミレット、会釈する)
衛兵:
「しかし、妙だな……。48年前のリストが見たかったんじゃないのか? なんで、9年前に切り替えたんだ?」
(画面の端に仮面をつけてマントを羽織った人物が現れる)
衛兵:
「貴様、何者だ!」
(怪しげな人物は、何も言わない)
衛兵:
「名乗らないのなら、ここで命を奪うまで!」
(衛兵、槍で串刺しにしようとするも、空振りに終わる)
???:
「ふふふ、毎日、突っ立っているだけだから、腕がなまるんだ」
(謎の人物の声は仮面越しのため、聞き取りにくい)
衛兵:
「貴様、好き勝手言いやがって!」
(仮面の人物、衛兵のみぞおちに一撃を食らわせる。ドサッと音を立てて、衛兵は倒れこむ。謎の人物、音録石からフェードアウト。30秒ほど遅れて、ミレット現る)
ミレット:
「何か、変な音が――え、これ何が起きたの!? でも……ある意味ラッキーかも」
(ミレットが「40年から50年前」の保管棚に向かう。衛兵は、依然として気を失ったまま。1時間ほど、同じ映像が流れている)
注1)後日、仮面の人物の正体が判明。■■氏であった。
注2)その人物は、現在■■によって監視されている。
【研究員のメモ】
仮面の人物の正体が気になる。しかし、注釈によれば、彼あるいは彼女も逃げられなかったらしい。しかし、処刑ではなく生かされているのはなんとも不思議である。自分なら、すぐに首をはねているが……。
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