第11話 【極秘】マジックレコーダーの記録

【物件番号:  】音録石(マジックレコーダー)の記録

回収場所: ギルド地下金庫

回収日: 王暦125年  月 日



(00:16~ 映像開始)


ミレット:

「ワットさん、私、昨日の夜にスライムの生態を調べたんだ。それによると、大きさを自由自在に変えられるの。だから、バルーンを使わない?」



ワット:

「バルーン……ですか?」



ミレット:

「そう、バルーン。膨らむ音をスライムが大きさを変える音に偽造できないかな」



ワット:

「なるほど、名案です。でも、バルーンって在庫ありましたっけ?」



ミレット:

「さすがに、村の店で調達するのはバレそうだし……」



ワット:

「あの、1つ心当たりがあります。その……カイル氏たちの遺留品にあったかと。でも、さすがにアレに手をつけるのもどうかと思います」



ミレット:

「そうね……。その選択肢はないわね。じゃあ、こうしましょう。そこの窓を少しだけ開けるの。そうすれば、ビューって音が出るんじゃないかな」



ワット:

「それでいきましょう。ちょっと離れてください。この窓、古くて危ないですから。せーのっ!」



ミレット:

「うわー、すごい風!」



(低い風の音が続く)



ミレット:

「じゃあ、偽の音録石を作りましょう。ただし、音だけで。さすがに、映像つきをこの部屋で撮ったらバレバレだから」



ワット:

「どういう場面にしますか? スライムが襲い掛かってくるところでしょうか」



ミレット:

「いきなりスライムが襲い掛かってくると不自然だわ。まずは、何気ない会話から入りましょう。新米冒険者を装って」



ワット:

「じゃあ、洞窟内を歩いている2人という設定ですね。音録石の動力をオンにしますよ。スタート!」



(以下、2人の演技が17分続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る