僕の未来図鑑 第一部
@gttuPan
第1話 始まり
快調なスタートを切った。午前7時50分。学生の人間は察したと思うが...そう。遅刻だ。すかさず目覚まし時計を探す。と。遠くの方に電池が転がり、画面は割れていた。
「また買わなきゃ...。」
僕の1日の第一声である。
朝食を食べる事にした。時刻は8時。今更間に合う筈もなかった。ふと昔、中学校の頃クラスメイトが言っていた事を思い出した。
「完全に遅刻と分かれば何時にこようと関係ない。いつきても遅刻は変わらないから。」これはある意味凄い考え方であり、いい事だと僕は思う。だって本当にその通りだから。だがそのクラスメイトはつい最近、交通事故で死んでしまった。飲酒運転の不慮の事故に巻き込まれたという。ちなみに墓参りは行った事はない。だが、遠くでこの名言を残した彼に感謝したいと思う。そうこうしているうちに長針は数字の3に近づいていた。こうなれば、怖いものなんて何も無い。
唯一のわかる交通手段。電車で学校へと向かった。
学校に着いたのは9時過ぎ。どうもこう授業中の微妙な時間に着くのだろうか...。
ゆっくり歩き中を伺い耳をすます。静かだ。騒がしいと入りやすいのだが...などと往生際の悪い事ばかり考えてしまう。腹をくくって扉を開ける。視線を一斉に浴びる。...つい先程の感覚と同じである。
「...来たな、真傘。さっさと座れ。」
一時限目の古典の先生が呆れたような声で言った。遅刻だし、そりゃそうか。
近くのクラスメイトがにやけながら話しかけてきた。
「ま〜た目覚まし時計壊れたか?」
「よくわかったな。その通りだ。」
クラスに失笑がはしった。そして先生が仕切り直し授業が再開した。目覚まし時計壊れた事...。
はっ。
我にかえる。今は何時だ?クラスが騒がしい。皆ベランダに出て下を向いている。
「何があったんだ?」
さっき話しかけた奴に聞いた。
「なんか下で団体での大ゲンカが起こっているらしいぞ。」
先程と同じにやけ顔で言ってきた。こいつはどうやら変わった事が好きみたいだ。引け目を感じながら問題の団体を見てみた。どうやら裏庭でAクラスの人間とBクラスが声を張り上げている。今日はこんな事が多いな...そんな事を思っていると、さっきのにやけている奴が
「勝つのはAクラスか...」
と呟いた。いきなりなんだこいつ。まるで未来を知っているように...すると何があったかBクラスの人間が逃げるように走り去っていった。Aクラスから歓声が聞こえる。Aクラスが勝った...。歓声が止みそうになるのと同時に教室の扉が勢いよく開いた。周りから小さな悲鳴が聞こえる。次の授業は学校一怖い数学科の金田先生である。全てが怖い。そう学校中で言われていた。だが僕は知っている、この人が学校の隅の庭で野良猫を可愛がっていた事を。おかげで僕は金田先生に嫌われている。理不尽だ。そんな感じで昼食の時間となった。パシリなのかいじめなのかわからない弱々しいクラスメイトが買い出しに行かれているのを見た。今日はついてない。明日はちゃんと起きようと思いながら廊下を歩いた。昼食を買うために。が、道に迷った。なんて事だ。と誰もいない道でくるくるしているとどこがで声がする。嫌な声だ。脳裏に鈍い記憶が走る。しかし歩く度に大きくまた、悲鳴になっていった。声をする場所に辿りつく。ゆっくり覗くと...。......理科の先生である安藤先生がAクラスの女子にセクハラを行なっていた。ノイズが入る。大きくなる。焦点が一点の方にしか向かなくなった。
「先生。何してんの。」
いつも優しいと聞いていた安藤先生。なのに...女子の目には涙が溢れていた。先生の顔は酷く青ざめ、緑になりかけていた。しかし、開き直ったのか、どうでも良くなったのだろうか...。教師なんて所詮グズなんだ。人間だからって...。そんな事を思っていると安藤先生は足を踏み込み下から強く拳を上げてきた。グズが踏み出す手段なんて昔から見てきた。このノイズを消すには...。俺は安藤先生の上がる右手の拳をとり反時計回りにひねりあげた。そして...顎に一発。
「ぶぐわぁぁぁあ。」
変な悲鳴を上げて座り込んだ。女子も泣きながら走り去っていく。顎を殴ると脳が揺れる。これで少しは
「治るよね..?」
チャイムに驚く。いつのまにかノイズは消えていた。
「安藤先生...?」
何故か理科の先生である安藤先生が倒れ込んでいた。僕は保健室に運び、午後の授業を受けた。ご飯を食べていない。結局道に迷って彷徨ってそれからそれから...安藤先生が倒れているのを見つけた。そういえば、保健室の先生は貧血と言っていたな。
家に帰る。自分にとって一番好きで安全な場所である。家には誰もいない。けれど
「帰りまし...。っ。」
昔の癖が治らない。というか言わないと気がすまないのかもしれない。けれど今日はいつもの事だけでは終わらなかった。
「お帰りなさい。」
振り返るとそこには、透明な天使が立っていた。
「え。どなたですか。」
天使は笑った。こんな濃い一日の中でここまで濃い事があったとは...。これもまた日常か...。こちらの事など気にもせずに話始めた。しかし僕は
「すいません。中でゆっくり話しませんか。」
こんな変な1日は変な自分がお似合いである。
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