マンツーマン・ディフェンス
新田にいた
第1章 私の日常から出逢い
第1話
私は、自他ともに認める変人だ。
いや、別に奇抜な服を着ているわけでも、廊下で逆立ちしているわけでもない。
ただ、普通の人が「え、そこ気にする?」っていうところに全力を注ぐタイプ。
一般的な思考とちょっとズレてると言ったらいいのかわからないけど、まぁそんな感じ。
たとえば、バスケの練習で「ボールの回転数」を気にするやつ、見たことある?
相手チームのキャプテンの足が何回地面についたか数えるやつ、身近にいる?
多分そんなにいないと思うんだけど、私はそういう人。
だって、回転が甘いとシュートの確率が落ちるんだよ。
さらに、キャプテンの足を見とけば次の全体の動きがわかってくるんだよ。
物理と心理学だよ、まぁ知らんけど。
……まぁ、そんなことを言ってるから「変人」って言われるんだけど。
あ、そう、代替わりがあったときの話聞いてよ。
私は中学2年生なんだけどなんとなんと副部長になってたの。
副部長になったのは、私の意思じゃない。
三年生がね、まともな人間が一人しかいなかったんだよ。
あとは、まあ……察して。
3年生がさぁって言い始めたら日がおちて昇るまで愚痴聞いてもらうよ?
まぁそんなことはどうでもいいんだけど。
本題に戻すね。
「阿玖陽、2年生ですまないがお前しかいない。」
って顧問の菜瀬田先生に言われて、はいはいそうですかーって引き受けた。
実力も部活内では部長の次くらいにはあると自分でわかってたし、断る理由もなかったしね。
でも、正直、部活って人間関係が一番難しいと思う。
バスケのルールより複雑だよ。
勝つために必要なのは技術でも体力でもない。
ヨコとタテの繋がり。
人間関係のバランスだ。崩れたら終わり。
……そういうことを、私はこの一年で嫌というほど学んだ。
今日も体育館は熱気でむんむん。
ボールが床を叩く音、シューズが鳴らすキュッという音、汗の匂い。
「それにしても、菜瀬田先生、定年退職かぁー」
私の母校・新道中学校では1年に1度、有志が集まり、なんやかんやする【新道女子バスケ部OBOG会】っていうのがあって。
今日は菜瀬田先生の定年退職祝いの会みたいな感じなので結構人が集まってる。
なーんか、差し入れで高級焼肉出るらしいよー。って真希音さんがLINEでそそのかしてたからかな。
今日私もそれに釣られてきたんだけど。
まぁ集まりごとが好きな私は毎回顔を出そうと思ってるんだけど。
「阿玖陽ちゃん、あいつ居るよ」
耳元で元部長の真希音さんにささやかれた瞬間、心臓が一拍遅れて跳ねた。
OBOG会のざわめきが、急に遠くなる。
その一言で、空気が変わった。私の中だけで。
「あいつ」って誰か、わかってる。
忘れられるわけがない。
あのことだろうなぁとわかる話題を聞くと背中に冷たいものが走る。
引退してまだちょっとしか経ってないけどまだまだ記憶は鮮明(……いや、鮮明すぎるんですけどね、本音は。鮮明すぎて逆に申し訳ないみたいな感じ)です、と真希音さんに嫌味たらしくいうと、
「ここにいて大丈夫なの?一発ぶってきなよ」と本気のトーンで背中を押された。
多分冗談。
冗談とわかっているけどその言葉は私を本当に後押しする一言だった。
でも、流石にもう高校生。
たかがあんな中学生ごときに私の拳の粒子を捧げたくないよと思いながら、私達は菜瀬田先生の到着を待っていた。
これはそんな私の体験談。
結構な後輩ちゃんだったのでみなさんにはこのような最低最悪なご縁が無いように願うのと、私の後輩ちゃんを反面教師として見てくださると私的にはありがたいんです。
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