第2話 いじめのはじまり
金髪ツインテロリ巨乳を不良から助けた次の日。
僕は普通に登校して教室に入る。
自分の席に座ろうとした瞬間、隣の席の金髪ツインテロリ巨乳と目が合った。
「あ、あの……」
金髪ツインテロリ巨乳は僕に声をかけてきた。
昨日声をかけるなって言ったのに……。
とりあえずトイレにでも行って無視するか。
僕はその声を無視してその場から離れようとする。
その瞬間……。
「おい!転校生!今、
赤髪の短髪で、両耳にピアスをしたいかにも陽キャな男子生徒が僕に声をかけてきた。
てか、金髪ツインテロリ巨乳、光月さんって言うんだ。今知った。
「てめー光月さんが話しかけてんだから返事くらいしろや!」
赤髪の男子生徒は僕に詰め寄ってきた。
「ご、ごめん……。でも僕、ちょっとトイレ行きたくて……」
僕はそう答えるも、赤髪の男子生徒はさらに詰め寄ってくる。
「あ?ならせめてそう言えや!無視なんて酷すぎるだろ!しかも相手は学年でも超人気の光月さんだぞ!?その辺分かってんのか!」
いや昨日転校してきたばっかだし知らないよ。
とは言えず、僕はただ謝る。
「ほ、ほんとにごめん……。次からは気をつけるよ……」
僕と赤髪の男子生徒のやりとりを見ていた光月さんが僕たちの間に割って入る。
「わ、私の事はもういいからこんな事やめてよ!」
光月さんはそう言ったが……。
「いやいやダメっしょ〜。
そう言いながら黒髪長髪でガタイの良い男子生徒が近寄ってきた。
なるほど。
金髪ツインテロリ巨乳の本名は光月光って言うのか。
そう思っていると、黒髪長髪の男子生徒が僕の肩にポンと手を置いた。
「お前さ、自分が陰キャって自覚ある?お前みたいなゴミ陰キャが光ちゃんの事無視するなんて有り得ねーんだよ。つかお前の顔見てるだけで腹立ってくるわ」
なるほど……。
確かに君の言う通りだ。
僕も自分の顔を鏡で見るたび、腹立ってくるし。
「ほんとアタシもこういう陰キャ見てるとマジムカツクんだよね〜」
そう言いながら、新たに茶髪ロングのギャルが近寄ってきた。
「ねー
茶髪ギャルに拓巳と呼ばれた黒髪長髪の男子生徒はニヤリと笑う。
「いいね〜。そうしよーぜ」
拓巳君はそう言い、赤髪の男子生徒の方を見た。
「
紅也と呼ばれた赤髪の男子生徒は首を縦に振る。
「当たり前だ。このムカツク陰キャ面をボコボコにしてやる」
「よっしゃ。じゃあまだ時間あるしこの陰キャ連れて空き教室行こーぜー」
拓巳君は僕の腕を掴んで無理やり引っ張った。
「ほら来いよ」
それを見た光月さんが僕たちの前に立ち塞がった。
「ね、ねぇ。こんな事……やめない?」
光月さんのその言葉に茶髪ギャルが口を挟む。
「光〜。何あんた?まさかこの陰キャの事庇うわけ?」
光月さんは茶髪ギャルの気迫に怯え、後退りした。
「そ、そういうわけじゃ……」
「じゃあ黙って見てなよ。なーに!光の事を無視したこの陰キャを懲らしめるだけだから!」
茶髪ギャルはそう言って光月さんの肩をポンと叩いた。
「ほら行くぞ!」
僕は拓巳君に腕を引っ張られて空き教室に連れて行かれる。
そんな中、僕は下を向いて誰にも気付かれないようにニヤリと笑った。
そして心の中で思った。
……。
いいね!素晴らしい!!
これを待ってたんだよこれを!!
僕は前の学校で同じような状況に遭い、その時は陽キャ君達を一方的にボコってやり返してしまったのだ。
しかしそれは陰キャの僕からしたら間違ったムーブだ。
陰キャは陰キャなりに身の程を弁えて大人しくいじめられないとな!
前回の失敗(陽キャ君達をボコってやり返してしまった事)のリベンジをできるし何より、いじめられるなんて陰キャの特権じゃないか!!
陰キャは陰キャらしく大人しくいじめられるのが一番だ!!
僕は笑顔で空き教室に連れ去られるのだった。
「オラァァ!!」
ドゴッ!!
「死ねや!!」
バゴッ!!
空き教室に連れて行かれた僕は拓巳君と紅也君に殴られていた。
「ちょっと〜。顔はやめたら?痣が目立つよ?」
茶髪ギャルが紅也君に向かって笑いながら言った。
「言ったろ?俺はこいつの陰キャ面をボコボコにしたいんだよ」
「ウケる〜」
僕をいじめている三人は楽しそうに会話をしていた。
一方の僕は……。
「オラァァ!!」
ドゴッ!!
拓巳君が僕の腹部にパンチした。
う〜ん……。
2点!!
「その顔うぜーんだよ!!」
バゴッ!!
紅也君が僕の顔面を殴った。
う〜ん……。
4点!!
僕は二人の攻撃に点数を付けて遊んでいた。
こんなにザコいのか……。
この程度のカスなら秒殺できるけどそんな事をしたら前と同じだ。
二人は陽キャで僕は陰キャ。
ここは大人しくいじめられなければならない。
「オラァ!!」
拓巳君が僕の脇腹に蹴りを入れた。
3点……。
はぁ。
なんかめんどくさくなってきたんだが……。
やるならもっと強い攻撃でやってくれないかな……。
そう思っていると……。
「何だよコイツ。どんだけ殴っても声ひとつ上げないし表情も全然変わらねーじゃねーか」
拓巳君がそう呟いた。
しまった!!
ちゃんと演技しないと!
僕は演技を開始する。
「い、痛いよ〜!!ご、ごめんなさい!!許してください!!」
とりあえず演技で泣き叫んだのだが……。
「い、いきなり何だよコイツ……。気持ち悪ぃな……」
紅也君が僕の事を見ながらそう呟いた。
ま、まずい!
演技するタイミングをミスったか?
僕はそう思い焦り始めた。
だが、もう遅い。
「何かコイツいじめてもつまんないしもう帰ろー」
「なっ!!」
茶髪ギャルの発言に僕は思わず声を上げてしまった。
「そうだな。もう行こうぜ。つまんねーし」
拓巳君もそう言って僕に背を向けた。
そんな……。
せっかく陰キャらしくいじめられると思ってたのに……。
「ちょっと待てよ!!」
気が付けば、僕は教室から去ろうとする三人を引き止めていた。
「あ?何だよ?」
拓巳君が僕に問いかけた。
「みんな酷いじゃないか!!僕をいじめるんだろ!?もっといじめてくれよ!!こんな……生殺しなんてあんまりじゃないか!」
僕は必死に訴えた。
しかし……。
「は?お前何言ってるんだよ……キモすぎるだろ……」
「何コイツドM?マジキモいんだけど……」
「もう無視しようぜ。そんな奴と関わるだけ時間の無駄だ」
三人は僕に向かってそう言ったのだ。
……。
僕は無言で拓巳君に近づいた。
そして……。
ドガッ!!
「ぐはっ!!」
僕は拓巳君の顔面を思い切り殴っていた。
「て、てめー!!」
それを見た紅也君が僕に襲いかかる。
シュッ!!
僕は紅也君のパンチを軽やかに避け、顔面に膝蹴りをかました。
「ぶへっ!!」
紅也君は鼻血を垂らしながら地面に膝をついた。
「くそがっ!!」
今度は拓巳君が襲ってきた。
「おせーよ」
僕はそう呟き、拓巳君の腹部に強烈な蹴りを入れた。
「うっ!!」
拓巳君は腹部を押さえながら地面に倒れ込んだ。
「な、何よ……コレ……。何なのよアンタ!!」
茶髪ギャルは怯えた表情で叫んだ。
僕は三人を見渡し、口を開く。
「君たちは大人しく僕をいじめてればいいんだよ。陽キャの君たちが陰キャの僕をいじめる。ただそれだけさ。僕は陰キャとしてちゃんと学園生活を送りたいんだよ。だからこれからもちゃんといじめてね?」
僕は笑顔でそう言った。
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