第9話 煉獄の孤島

 太平洋の彼方、海図からも抹消された地図にない島「双子島ふたごじま」。

かつてはリゾート地として開発されかかったその無人島には、今、ヘリコプターで運ばれてきた**「10組のカップル」**が立っていた。

​ 彼らは皆、高額な懸賞金がかかった懸賞、あるいは「豪華プライベートツアー」という甘い嘘に騙されて集められた人々だ。

​「……ねえ、様子がおかしくない? 誰もいないよ」

​ ウェディングドレスの試着を兼ねたツアーだと信じている婚約中のカップル、サキとタクヤが、錆びついたリゾートホテルのロビーで立ち尽くす。

 その時、壁に設置された古びたスピーカーが、ノイズ混じりの声を吐き出した。

​『……親愛なる獲物(ターゲット)の皆さま。第14回、カップル狩りin無人島へようこそ』

​ 同時に、ホテルの天井から数十個の首輪が落下し、彼らの足元に転がった。

​『ルールは単純。島を包囲する警備艇が到着するまでの48時間、生き残ってください。ただし、ハンターがあなた方の首を「刈り取る」ごとに、視聴者(ベッター)に配当が支払われます』

 ハンター:さらなる狂気

​ ジャングルを切り裂いて、複数の影が島へ上陸する。

 今回のハンターは、渋谷の惨劇を生き延びた「精鋭」と、新たな絶望を抱えた者たちだ。

​「鎌の継承者」: 渋谷で死んだ男の弟。兄が使っていた鎌をさらに大型化し、高周波の振動刃へと改造している。

​「元自衛官のリストラ男」: 組織を追われ、愛する妻に逃げられた男。島中にトラップを仕掛け、遠距離からカップルを「狙撃」する。

​「毒親育ちの狂信者」: 他人の幸せを極端に憎む女性。医療用のメスを使い、獲物を生かしたまま「解体」することに快感を覚える。

 地獄の逃走劇

​「走れ! 戻っちゃダメだ!」

​ タクヤはサキの手を引き、ジャングルの奥へと駆け出す。だが、背後からは「コツ、コツ」という、あの硬質な金属音が追いかけてくる。渋谷のアスファルトではなく、島の岩肌を叩くその音は、より低く、より重く響く。

​ 木々の隙間からは、ドローンの羽音が聞こえる。

 世界中の富豪たちが、高解像度のカメラを通して、逃げ惑う二人の姿をカジノのモニターで眺めているのだ。

​「サキ、見て……あれ」

​ 逃げ込んだ海岸の砂浜。そこには、先に来ていた別のカップルが、砂に埋められた状態で「鎌」によって芸術的に惨殺された姿があった。

​「あはは、見つけたぁ」

​ 頭上から降ってきたのは、銀色のメスを手にした狂信者の女だった。

 無人島という閉ざされた檻の中で、愛を誓い合った恋人たちの絆が、最も残酷な方法で試されようとしていた。

​  

 カップルリスト

1 ケンタ (28) ミサキ (26) 王道の爽やかカップル

2 ハルト (22) ユウナ (22) 同じ大学の同級生コンビ

3 タカシ (35) エリ (34) 落ち着いた大人の共働き夫婦

4 リョウ (19) アカリ (18) 初々しい学生カップル

5 ショウ (31) ナナコ (29) お酒とキャンプが趣味の二人

6 ユウト (25) レイ (27) 仕事熱心な年上彼女と年下彼氏

7 ダイスケ (42) マリ (39) 信頼関係の厚いベテラン夫婦

8 ソウタ (23) ヒマリ (21) SNSで人気のインフルエンサー風

9 カズマ (30) サオリ (30) 幼馴染から結婚した二人

10 レン (20) メイ (20) 共通の趣味(ゲーム)で意気投合

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