第11話 加護という名の呪い



【悲報】ワイ、散歩中の犬に吠えられまくられ、猫にシャーされ、カラスに集団で鳴かれて布団の中で震える



1 我輩は名無しである

ワイが何をしたって言うんや。

ちなこれが証拠や。




2 我輩は名無しである

ヒェッ!カラスが大量発生してるやんけ!イッチ何したんや?



3 我輩は名無しである

怖すぎワロタ



4 我輩は名無しである

誰か助けてくれや。昨日の仕事終わってから突然、知らん人にもチラチラ見られてるような気がするし、頭おかしなるで



5 我輩は名無しである

アルミホイル巻け



6 我輩は名無しである

SNSや他のスレでも似たようなこと言ってる奴いるな



7 我輩は名無しである

ワイ、答えが分かったかも知れん。

SNSで言ってるやつをちょっと遡ればヒントあるで



8 我輩は名無しである

あっ、、、、



9 我輩は名無しである

イッチの自業自得で草

とりあえずギルド行ってこい




20 我輩は名無しである

【悲報】ワイ呪われていた。

ギルドで鑑定してもらったら、獣神の加護(?)が生えてたわ。

加護の内容は動物や魔獣に襲われへんようになる代わりに動物にめっちゃ嫌われるらしい



21 我輩は名無しである


22 我輩は名無しである

ギリギリダンジョンでのメリットがあるから地味にやらしくて草

一体イッチ達は何したんやろなぁ?()






「ダンジョン庁公認冒険猫のキトラだニャ!今日から中層に挑むから応援よろしくにゃん♪」




"こにゃにゃちわー"

"にゃーーー!"

"配信助かる。毎秒配信して欲しい"

"今日から中層か。楽しみにしてます"

"中層到達で1人前だし、配信開始時から見守っていた俺としては感慨深い"

"まだ初配信から1週間なのに古参アピすんな"

"それよりダンジョン庁が獣神の加護()について声明出てるけどキトラちゃん何したの?"

"前にプレゼント送りつけたって言ってたよね?"

"もしかしなくても何かした?"



ダンジョン内で配信を開始すると挨拶と加護への疑問が流れる。

この世界は情報伝達が早いなとキトラは感心をする。


「さぁ知らないニャ。答えは神のみぞ知るニャ!」


嘘は言ってない。

今は神獣とはいえ、いずれ神となる身。

一応ダンジョン庁や綾乃には言っているが、詳しくは言っていないため、何をしたかはキトラしか知らないので嘘では無い。


そんなすっとぼけるキトラにコメント欄では流石に何かを察する者もいる。



"知らない(すっとぼけ)"

"可愛いからヨシ!"

"神獣の加護って普通に考えて獣の神が与えたんだよな?それってつまり"

"神様も配信見てるんだろ。それでいいじゃないか"

"ネコと和解せよ!"

"加護を貰ったやつはキトラ様に感謝して奉れ"

"むしろワイもキトラ様の加護が欲しい"



「人も集まってきたし、ダンジョン配信を始める前に一つ言っておくニャ」


昨日のことやダンジョン庁の発表もあり、注目が集まってる中で、キトラは意図的に神威を放出して神秘性の演出をする。

その異常さが画面越しでも伝わり、コメント欄が静まり返る。


「このダンジョンは残り3週間で命にかえても攻略する。それを邪魔するのであれば、友でも、ドラゴンでも、神でも容赦をしない。この牙を、この爪を、誰の血で汚すことになっても必ず成し遂げる。命が惜しくば邪魔をするな」



普段のキトラからは考えられないほど、恐ろしく威厳に満ち溢れた声。

それは画面越しにでも十分な効力で、視聴者などいないようにコメント欄がピタッと止まる。

ついでに配信を見ていた一部の政府関係者が泡を吹いて倒れ、鬼住総理は胃を押えてうずくまった。



「それを理解してダンジョン攻略を楽しんで欲しいニャ!それではダンジョン攻略を開始するニャ!」



いつもの口調に戻るとキトラはダンジョン攻略を開始した。

ペースはかなり早く、出てくるモンスターの解説と、時々休憩を挟みながら中層10階に辿り着いた。


「キリがいいからこの階のボスを倒したら終わりにするニャ!知ってる人も多いと思うけど、中層から下は10階ごとにボスモンスターが登場するようになってるからここで一つの区切りだニャ!」


キトラが階層の部屋の前でそう言って部屋を開けると、そこには2mほどのゴーレムが3体いた。

大きな土塊で造られたゴーレムは所々に草が生い茂っており、一見するとラピ〇タの心優しき巨神兵にも見える。


「あっ!こりゃまずいニャ!!」


キトラがそういうと同時に空中を駆け出した。

視聴者への説明も置き去りにして最短距離でゴーレムに肉薄し、「ニャァッ!!」と猫パンチでゴーレムを粉々に粉砕する。


他の2体のゴーレムが仲間が倒されたことに気づき、手を草に当てて何かを引き抜こうとしたが、キトラが勢いそのまま猫パンチで粉砕し、オーク戦とは比べ物にならないほどの業火で、生えてる草ごと焼き払った。



"えっ?何が起きたの?"

"今、空を駆けてた?"

"天空の城に居そうなゴーレムくんが一瞬で・・・・・・"

"解説もなしに即殺なんて、それほどの敵だったのかな?"

"わざわざ残された草も焼いてたけどなんだったんだ?"



「危なかったニャ。さっきのはマンドレイクゴーレムと言ってゴーレムにマンドレイク、地方によってはマンドラゴラとも呼ぶ草を生やしてるゴーレムだニャ。にゃーは問題ないけど画面越しとはいえマンドレイクの叫び声を配信で聞かせると視聴者全員が意識障害とか起こす可能性もあったから瞬殺したニャ」


"えっこわ!?"

"画面越しでもその危険があるのって怖いな"

"というか中層でそんなバケモンでるの?"

"ゴーレムの分際で草を生やすな"

"ゴーレムくん「草生えるwww」"

"なにわろてんねん"



「あれは成長しきってなくてまだ歩けないマンドレイクと、物理攻撃しか出来ない土塊のゴーレムが手を組んだ魔物だニャ!あいつら知能があるから降参するふりや、何かをくれる素振りをしてマンドレイク引き抜いて攻撃してくる許しちゃいけないニャ。にゃーも1度酷い目にあったから、つい熱くなっちゃったニャ!」



"それよりゴーレムは聞くけどマンドレイクゴーレムって下層で単体で出てくるとか聞いたことあるけど中層で出るのは初めて聞いた"

"一応ハズレボス枠として稀に出るらしいぞ"

"中層の浅めで出ていいモンスターじゃないんだよな"

"これもしかしてヤバいやつ?"

"キトラが強すぎるから大したこと無さそうに見えたけど、普通のパーティーなら出会った瞬間、即撤退が推奨されてる"



「確かに不意に出会うコイツは強いけど、強さのほとんどがマンドレイクだから、対策を出来ていればゴーレムと強さが変わらないから大丈夫ニャ!それに今回は安全のために焼き払ったけどマンドラゴラの根は薬にもなるし、葉っぱにも強い魔力があって意外といけるニャ!」



"待って!?マンドレイクってナス科だろ!?人間も猫も食べない方がいいやつ!"

"えっキトラちゃん大丈夫なの"

"ダンジョンにいるなら俺らが知っている植物とは別もんだろ"


キトラの言葉に冒険猫ではなく、猫として見ている層が心配をするが猫であった頃のキトラならともかく、ケット・シーとして妖精となった時から一般的な猫が食べてはいけないものを食すにも問題はなくなっている。


「にゃーは毒に耐性があるから平気だニャ!あとダンジョン産だし、モンスターだからそもそもナス科じゃない別物ニャ。このマンドレイクは竜の血を浴びた土地を育つって言われてるニャ!」



"はぇ〜トリカブトみたいやね"

"キトラちゃんは物知りだね〜"

"いやいやこれどう考えても"向こう"側の話だよな!?"

"まだ言ってることが正しいとは決まってないから(震え声)"

"でもスキルって向こう側のもんだよな?それがキトラのアンチについたってのどう考えても最低でも向こう側に知り合いがいるんじゃ・・・・・・"

"キトラ様は可愛いお猫様定期"

"答えは沈黙や。ここは猫ちゃんが大暴れする配信。それでいいじゃないか"



アンチに加護を授けたことや今までキトラが話した情報から、多くの視聴者は正体に気付かずとも触れない方がいいことや、ダンジョンが現れた当初から言われているダンジョンの向こう側の異世界に関係していると察していた。


いざとなれば自分が関わった記憶を消すことも考えていたが、臭いものには蓋をしてくれるならキトラとしてはありがたかった。


「それじゃ今日はここまでにするニャ!チャンネル登録お願いしますニャ〜♪」



――――――――――――――――――――――――――




「このクソ猫ふざけるな!!!絶対ぶっ殺してやる!!」


PCの前で机を激しく叩く男がいた。

バンッ!という大きな音がするとカラスが合わせたようにカァーーーwwwwwwと煽るように鳴く。


男の名は泉 南いずみ みなみ

元暴露系配信者であり、現在は政治家という異色の経歴を持つ。

彼が見ていたのはダンジョン庁が突然公認の配信者と言い出してどこからか連れてきた謎の猫。

初配信から見ており、畜生の本性が出て人間に害をなす発言したらダンジョン庁を叩こうと、サブ垢でアイドル系冒険者ファンの便乗荒らしをしていると、獣神の加護とかいう呪いをかけてきた。


おかげで人前に出れば、全員に不快な目でチラチラ見られて、犬猫に吠えられ、家にいてもカラス等の鳥類は鳴いて糞をしてくる。


そんな荒れている男の部屋に1匹のハエが入り込み、目の前を飛びまわり酷くイラつかせる。


「あぁ!!鬱陶しい!死ね!!!」


殺虫剤を振り撒くがハエは死ぬどころか泉に近づいて頭の上に止まる。

慌てて追い払おうとしたが力が入らずに彼は座りこんだ。

そして数分後には虚ろな目をして立ち上がり、パソコンをいじりだす。



「アハハハッ!!人間様にかかれば害獣駆除なんて余裕なんだよ。ついでにこんなのを担いだダンジョン庁も燃やしてやる!!」


突然笑いだして高揚感が溢れる泉は知り合いの冒険者や最初の被害者である犬鳴、そして探偵などに声をかけてキトラやその周辺の調査を始める。


虎より恐ろしい猫の尾を踏んでいると彼は気づかない。

何かに突き動かされるままに泉は行動に移す。

ただキトラが憎い。この恨みを晴らしたいとばかり考えてしまう。



彼の部屋には数匹のハエが常に飛んでいた。




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