悪役貴族に転生した俺、破滅エンドを回避するために男だらけの学園を作ろうと思ったら、なぜか男女比が逆転したんですが?
とおさー@ファンタジア大賞《金賞》
第1話 なぜか男女比が逆転した
「オル様、今年の入学者が決まりました」
エロゲ世界の悪役貴族に転生した。
侯爵家の長男――オルフセン・スターズ・アイランドとして。
オルフセンはまさに悪役に相応しい高スペックの人間だ。
顔立ちがよく、莫大な魔力を持っていて、学園では常に好成績を収めるほどの学力も兼ね備えている。まさに完璧。
その反面、女癖が最悪だった。
学園では常に女を侍らせ、権力を振りかざして傍若無人に振る舞っていた。
挙げ句の果てには王太子の許嫁にまで手を出して、国王の反感を買い、処刑されるという破滅エンドを迎える。
そんな前世でやっていたゲームの記憶を十歳の時に思い出した俺は、この五年間破滅フラグを回避するために奮闘した。
できる限りの準備はしたつもりだ。
「こちらが入学者の名簿となります」
「ありがとう」
「オル様の見事な施策により、入学者の傾向は前年と比べて大きく変化しました。想像を絶する結果です」
「そうか」
メイドのローズから紙を受け取ると、俺は不敵な笑みを浮かべる。
破滅フラグを回避するために俺は様々な取り組みをした。その中でも最も注力したのは学園改革である。
原作では十五歳になると、一定以上の身分の人間は必ず学園に入学することが義務付けられている。
学園では座学や魔法を学ぶことができ、そこで好成績を収めたものは、王国直属の騎士団に入団できたり、魔法の研究ができたりと将来の幅が広がるのだ。
平民にとっては人生を逆転する千載一遇のチャンスと言えよう。
その反面、大半の貴族は学園に通うモチベーションなどなく、それぞれ好き放題遊んでいた。
そして典型的な悪役貴族のオルフセンは学びを放棄し、女遊びに惚けていた。
学園内でハーレムを作って、手を出しちゃいけない女性に手を出して、その結果として処刑される。
つまり俺にとっては、学園そのものが破滅フラグなのだ。
そこで俺は考えた。
――男だらけの学園を作ればいいのだと。
男しかいないのであれば問題ない。ハーレムなんてできようがないし、破滅エンドも回避できるだろう。
だからこそ俺は父に直談判して、学園長とのパイプを作ってもらった。
そして許嫁と協力して、新たな学園を作り上げたのだ。
義務教育を廃止して、身分の差をなくし、恋愛を禁止し、ただ己の実力のみで押し上がれる。
――そんな実力主義の学園を。
「ふははは……」
俺は笑みを浮かべながらも自室のイスにふんずり返って、今年の入学者名簿を眺める。
きっと入学者のほとんどは男のはずだ。
そんな確信を抱きながらもチラリと覗くと、そこには目を疑うような内容が記されていた。
「…………………………は?」
上部には入学者の名前がずらっと記載されていたがそれはいい。
問題は性別の割合だった。
「…………………………は?」
どうしても目を疑わずにはいられない。
しかしどんなに目を擦っても、確かにそこにははっきりと記載されていたのだ。
予想外の数字が。
「――男が2人しかいないだと⁉︎」
入学者200人に対して男性は2人。それ以外は全員が女性だった。
つまり男女比は1:99ということになる。
「そんなわけあるか!」
俺は思わず机を激しく叩く。
せっかく男だらけの学園を作ろうとしたのに、どうして男女比が逆転してしまったのだろうか。
全くもって意味が分からなかった。
「なあローズ、これは夢か?」
「いいえ。現実です。オル様が作り出した理想の現実」
思わずメイドに問いかけると、彼女は満足そうに笑みを浮かべた。
「オル様は本当に変わられましたね。以前は女性の敵でしたが、今では全女性の味方と言っても差し支えありません」
「……………………これは夢か?」
「ふふっ、ご冗談を。全ては入学者の比率が物語っています。これは現実です」
「ふははは……」
「予想通りという反応ですね。さすがオル様。私のご主人様なだけあります」
「ふははははははははは……」
頬を染めて呟くローズに対して、俺は乾いた笑みを浮かべることしかできなかった。
なにせ全ての行動が裏目に出たのだから。
そして残念なことに俺の運命はすでに決定づけられていた。
俺――オルフセン・スターズ・アイランドは男女比が狂ったこのおかしな学園に、主席で入学することが決定しているのだ。
しかも入学式の日は一週間後だった。
「……勘弁してくれ」
俺はただ破滅エンドを回避したかっただけなのに。
破滅フラグを折るつもりが、致命的に何かを間違えてしまったらしい。
こうして俺は失敗したのであった。
しかしこの時の俺はまだ甘く見ていたのだ。
男女比が逆転してことで、原作とはかけ離れてしまったことを。
その結果、ハーレムを助長してしまったことを。
――そして女性に囲まれる真の恐ろしさを。
俺はまだ甘く見ていた。
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