ウォーター・君の目
君との遊びは、すぐに終わった。
時間が来れば、君の目に僕は映らなくなる。それだけのことなのに、胸が痛んだ。
次はいつだろう。
そんなことを考えている自分に、僕は驚いた。
その日から、君のあの目が忘れられなくなった。
誰と話していても、誰の目を見ても、君の目を探してしまう。
再び君を見かけたのは、街を歩いている時だった。
イヤフォンを耳に差し、視線を落として歩く君。周囲の世界から切り離されたような、その横顔。
───気付いてほしい。
願えたのは、それだけだった。
君は気付いた。
一瞬、あの氷の目がこちらを捉える。
けれど、すぐに視線は外された。
分かっているはずなのに。
君の目に映してもらえないことが、どうしようもなく悲しかった。
気付けば、僕は君の後を追っていた。
まるでストーカーのように。
それでも、声をかけることはできなかった。
君に話しかける人が現れた。
親しい友人なのだろう。
僕が見たことのない目を、君はその人に向けていた。
白湯のように、温かく、優しい目。
無邪気に笑う君。
僕には向けられなかった、あの目。
胸の奥が、ざわついた。
嫉妬だと認めるのが怖くて、言葉にできなかった。
僕にも約束があった。
だから、君の元を離れた。
分かっている。
君にとって僕は、なんでもない存在だ。
名前も、関係性も、意味もない。
それなのに――
求め始めているのは、僕だけだった。
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